妖怪ヒーローアカデミア
□11話
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小学3年生になり、このくらいの歳になると周りとの違いに敏感になってくる。
かっちゃんもいっくんに対しての態度が以前より酷くなっているような気がする。否、気がするとかではなく確実にだ。
学校の休み時間になり、かっちゃんが一番に外に出ようとする。
「かっちゃんボクも行くから待ってて!」
「デクなんか待つかよ!」
デクとはかっちゃんが考えた無個性のいっくんの蔑称だ。
「ちょっとちょっと、酷いんじゃありません?デクって、木偶の坊としか聞こえませんよ?」
ウィスパーは自分が見えていない事を知ってはいたが、余りのかっちゃんの言い様にかっちゃんに抗議をする。
「デクならウィスパーの事を言うニャンよ。イズクはいい子ニャン。」
「おいっ!!」
ジバニャンの言葉にウィスパーがキレる。
ウィスパー達は私を守る為に外に出る時は必ず誰かしら一緒にいる。それは学校でも変わらない。授業中は静かにしている。
『かっちゃん、いっくんの事変な呼び方しちゃダメだよ。』
教室から出ようとしていたかっちゃんの腕を掴む。
「…。」
『いっくんはいっくんだよ。デクじゃないもん。』
「うっせーな…。」
顔を背けるかっちゃん。周りがハラハラして見ている。
いっくんが慌てて私とかっちゃんの間に入ってきた。
「ぼ、ボクは大丈夫だからっ!
だから二人にはケンカしてほしくないって言うかっ…。ね!霊和ちゃんも落ち着いて!」
『ダメだよ。かっちゃんがいっくんの事いっくんて言うまで許さない。』
「ガキじゃねーんだからんなこと言えるか!」
何で言えないんだろう?
私には理解出来なかった。
後ろの方でいっくんと呼べー!と野次、というかウィスパーとジバニャンが言っている。
『ガキじゃなくてもいっくんて呼ぶの!』
「こいつなんかデクで充分なんだよ!」
「あ〜もう!二人とも落ち着いて!」
友達のはずのいっくんを罵る意味がわからない。そして分かってくれないかっちゃんにイライラした。
『いっくんの悪口言うかっちゃんなんて嫌い!』
「っ…!
…あぁ、そうかよっ。」
いかにも子供っぽい否定的な言葉に一瞬傷付いたような顔を見せるかっちゃん。
私の腕を振り払い教室から出て行ってしまった。