妖怪ヒーローアカデミア
□41話
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束の間のレクリエーションが終わり、とうとう始まる体育祭の目玉、総勢16名で行われるトーナメント式の1対1のガチバトル。
それぞれの生徒がクラス席で今か今かと本戦が始まるのを楽しみにしている中、A組のクラス席は轟くんの話で持ちきりだった。
「──…しっかしついてねぇな〜瀬呂。
いきなり轟とだもんな。」
「やめろ。
自分のくじ運のなさに嫌気がさしてんだよ。」
トーナメントはクジで決められ、瀬呂くんは轟くんと当たる。
私の一回戦は三奈ちゃんとだ。
「勝機があるとすりゃ、開始速攻場外に落とすしかねぇな。」
「だが轟のあの氷結は速い。」
「確かにクラストップの実力者だもんな。」
「勝てる見込みねぇなお前!」
「お前ら俺を応援する気はないのか!!」
轟くんの個性は強い。
私が轟くんと当たるとなるのは決勝で、その前の準決勝はかっちゃんとだと思っている。
そのかっちゃんというと、一回戦の相手はお茶子ちゃんだった。
私の隣で緊張した面持ちでこれからの戦いに備えている。
会場の真ん中に初戦の二人であるいっくんと、唯一普通科で騎馬戦に出ていた人が向かい合った。
相手を場外に落とす、行動不能にする、「まいった」と言わせることが勝利のルールだ。
<<オーディエンスども!
待ちに待った最終種目がついに始まるぜ!第1回戦!
成績の割にはなんだその顔!ヒーロー科、緑谷出久!!
バーサス!
ごめん、まだ目立つ活躍なぁし!普通科、心操人使!!>>
会場に歓声が響き渡る。
いっくん頑張れ…っ!
<<レディー……スタート!!>>
いっくんが攻撃を仕掛ける。
……だったはずなのだが、
<<緑谷、開始早々完全停止ィィィィィィ!?!?!?>>
そのままいっくんは真っ直ぐ場外の方へ進んでいく。
「ちょちょちょ!出久くん何しているんですか!!
敵は反対ですよー!」
「これは…。」
フゥ2が何か考える。
どうしたのかとフゥ2の方を見ると、尾白くんが心配そうな目で対戦を見ている。
「あぁ、せっかく忠告したってのに!!」
『あの人の事知ってるの?』
「あぁ。騎馬戦でアイツと組んだみたいでな…。」
みたい…とは自分の事なのに他人事みたいな言い方だ。
「アイツの個性は多分、"洗脳"だ!
自分の問いかけに答えた者は奴の思い通りだ。」
『洗脳…!』
妖怪の取り憑きと同じだと思った。
心操くんはいっくんに洗脳して場外を狙っている。