妖怪ヒーローアカデミア

□44話
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会場周辺も探してみたがりゅーくんが見つかることはなかった。

「おかしいなー。
どこかですれ違いでもしたのかな?」

『森の中に入っちゃうなんてことはさすがにないよね?』

「りゅーくんは妖怪の中でも赤ちゃんの部類だからなぁ…。
気になるものがあったら行っちゃうかも。」

森の中も探しに行こうか迷っていると、ピコンと音が鳴ってフゥ2が持っているタブレット端末に知らせが入った。

「試合終わったって。
……そっか、出久は負けたのか…。」

いっくん負けちゃったのか…。

轟くんといっくんでは実力差があったが、それでもいっくんも努力してきた。
それこそ障害物競争では一位を取れたくらいに。
だが純粋な闘いではいっくんはまだまだ素人同然だった。

「時間切れだね。
霊和ちゃん戻ろう。」

『でもまだりゅーくんが見つかってないよ。
試合ギリギリでも、』
「ダメ。
ドタバタして試合なんて相手の常闇にも悪いでしょ。」

ほら行くよ。と首根っこを引っ張られて会場へと連れていかれた。






待ち合い室に行っても気になるのはりゅーくんで、子供だし泣いていないかなと心配になる。

『……、
やっぱり試合辞退でいいから探しに行く!』

椅子から立つ私にフゥ2が溜め息を吐く。

「りゅーくんは聖オカンも探してるから。なんなら他にも探すように連絡する。
霊和ちゃんは友達妖怪の期待を背負ってるんだよ?
せっかく霊和ちゃんの試合を見に来た皆に失礼だよ。」

『うぅ〜…。』

確かに試合に出なくなると見に来てくれた皆にも迷惑になる。
仕方なく椅子に座った。

と、同時に扉をすり抜けてウィスパーが入ってきた。

「おや、先に来ていたんですね〜。
フユニャンも一緒にいたんですか。」

「ちゃんと撮ったかニャン?」

「さっきフユニャンと合流出来てね。
風に飛ばされちゃ…あれ?」

此方を見たフゥ2が目をぱちくりさせる。

『どうかしたの?』

「……フユニャン大きくなってない?」

未だに腕の中にいるフユニャンを見てみるがよくわからない。

「気のせいなんじゃないですかー?」

「いやいや、だってフユニャンってジバニャンと同じくらいの大きさだったじゃん!」

「そうだったかニャン?」

フゥ2以外は特に変わった様子はないと言う。
だが大きくなったと言い張るフゥ2に、ウィスパーがはいはい。と適当に話を流した。
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