妖怪ヒーローアカデミア2
□51話
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職業体験当日。一年のヒーロー科全員で雄英高校の最寄り駅にいる。
「コスチューム持ったな。
本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ。落としたりするなよ。」
「はーい!!」
「伸ばすな"はい"だ芦戸。
くれぐれも失礼のないように!じゃあ行け!」
ヒーロー服が入ったアタッシュケースとその他お泊まり道具が入ったキャリーケースを転がして、暫し会えなくなる皆と挨拶をする。
だが、皆が意気込んでいる中、飯田くんだけはそそくさと保須市に向うホームへ行こうとしている。
『飯田くんも無茶だけはしないでね。』
隠密に"敵"退治をしていた私が言えた立場でないのはわかっているが、どうしてだか言わないといけない気がした。
「ああ。」
『ケガとかしないで一週間後に学校で会おうね。』
「霊和ちゃん、それフラグでうぃすよ。」
『え?
じゃあ、元気で会おう?』
「それもアウトでうぃす!」
「フラグニャンて自分で言うから、ウィスパーはフラグを回収するニャンよ。」
呆れた目でウィスパーを見る。
「君の周りはいつも賑やかなんだな。」
飯田くんの言葉に頷く。
最初は妖怪なんて信じてくれなかったが、今では妖怪達を暖かい目で見てくれる。まだ少しテンションは低いが私と話してくれてモチベーションが上がってくれたなら嬉しい。
電車の時間が迫っていたので別れの挨拶をしてホームへ向かった。
いろいろと乗り継ぎをして、桜ニュータウンにある"こひなた駅"へと着いた。
『やっとついたー!』
「久しぶりの電車でしたねー。」
こじんまりした駅を降りると道を挟んだ反対側へと渡る。駅前になる小さな古めかしい店には"チョーシ堂"と書かれている。
『ここだよね…?』
学校で貰った住所と地図を照らし合わせる。合致しているのでここなのはわかったが、以前仲間探しをしていた時にここは何度か通っていた。その時は空き家だった気がするのだが、たまたま休業中とかだったのだろうか?
フゥ2に急かされてチョーシ堂の戸を開けた。
中に足を一歩入れると、沢山の時計の針の音が歓迎してくれた。壁の方を見ると振り子のある時計や置き時計、腕時計など色々な時計が飾られていた。
ショーウィンドーの台に隣接されたレジの奥に作業台があり、そこにサメの頭をした人が座っていた。