妖怪ヒーローアカデミア2
□57話
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「オレの取り憑きは色々な意味で浮かせることだからな。」
例えばクラスで一人だけ空気が読めずに浮いている人だとか、フラフラして一定のモノに執着しない人だったり、言葉のあやとして使われる"浮く"もフユニャンの取り憑きの一つであり、物を"浮かす"ことも取り憑きに含まれている。
「これでウィスパーが調整して霊和ちゃんが足を動かしていれば歩いているように見えるでしょ。
変な人に見られないし、身体に負担も掛けない。いいアイディアじゃない!?」
『他の人の目を気にすることはないからウィスパーに掴んでもらうのはいいや。』
「そんなぁ!」
指で軽く壁を押せば、力とは反対側へ進む。
これじゃフユニャンが風に飛ばされる訳だと思った。
ウィスパーに案内して貰って同じ階にいるいっくん達の部屋に入る。
『お邪魔します。』
「霊和ちゃん!?」
「起きたのか。」
ウィスパーに手を引かれてベッドまで近付くと、いっくんがウィスパーを押し退けて手を掴まれた。
「結構大きな怪我したって聞いたけど、此処に来て大丈夫だった?僕のベッドに座りなよ。」
手を繋いだことで見えたウィスパーに謝り、優しく私をベッドに座らせてくれた。
「妖見さん、僕が軽率な行動をしたせいで危険な事に巻き込んでしまってすまなかった…。」
飯田くんから、ヒーロー殺しに大怪我をされたインゲニウムこと飯田くんのお兄さんの敵(カタキ)を取るために、怪我をしているプロヒーローを助けるという名目の下ヒーロー殺しに挑んだ事、そして手も足も出なくて助けられた事、敵を取るという私欲に溺れヒーロー殺しに諭された事を教えて貰った。
『そうだったんだ…。
理由がどうあれヒーロー殺しは捕まりネイティブは助かったからいいんじゃないかな。
困ってる人を助けるのが私の夢!それはネイティブも飯田くんもだよ!』
親指を立ててにっこりとする。すると皆して何故か笑う。
「ね。霊和ちゃんも許してくれたでしょ。」
「そうだな…。
本当に君達のような素晴らしい友人が作れて僕は嬉しいよ。」
飯田くんが目に涙を浮かべるので、私は慌ててウィスパーからハンカチを借りて飯田くんに渡すなんてやり取りもした。