妖怪ヒーローアカデミア2
□65話
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一般社会が休日の午前9時、霊和達は自家用車に乗り家を出ようとしていた。
「皆気をつけていってらっしゃいね。」
「ああ。行ってくるよ。」
お母さんは運転席側の窓から中を覗いて手を振る。
『もし何かあっても私がお父さんを護るから大丈夫だよ!』
「お父さん嬉しいなぁ。」
「普通そこは父親が、娘は何としてでも護るよ!と言うところですよ…。」
私は助手席に座り後ろにはフゥ2、お父さんの後ろにはジバニャン、その後ろにウィスパーがシートベルトをして座っている。
お母さんに見送られながら家を出発して、一度警視庁に寄って現場に向かった。
一時間も走っただろうか、両脇に木が生い茂る道を進んで行くと、小さな駐車場と小屋がある場所に着いた。
「この先だよ。付いてきてね。」
駐車場から出てしまい道沿いに歩いて行くと、KEEP OUTと書かれた黄色いテープが道一杯に張られていた。道の真ん中には看板が立っており、"この先立ち入り禁止"と書かれている。
「入っていいんですか?」
「テープは事件後に張られたものだけど、この看板はもっと前から置かれているんだ。」
不気味そうに私の後ろに隠れるウィスパー。
お父さんにウィスパーの声は聞こえないのでテープを跨いで先に進んでしまう。
『前から立ち入り禁止だったってこと?』
「ああ。
この先はダムがあって、その途中に橋がある。
その橋では昔から自殺者が後を絶たなくて、いつからか立ち入り禁止になったんだ。」
私もテープを跨ぐ。ジバニャンもジャンプして立ち入り禁止の土地に足を踏み込む。
『自殺……。』
自殺した者は天国にも地獄にも逝けず、輪廻転生も出来ずにこの世をさ迷う者が多い。
そして自殺者は妖怪にはなれない。自分の命を軽く見る者が妖怪となり人々に影響を与えるには些か心許ないからだ。
「でも"敵"が関わってる事件なんだよね?」
「"敵"は殺害した人を自殺したと思わせたいんじゃ?」
「ヒーロー殺しなら世間に報せるために殺人してたのに、ヒーロー殺しの模倣犯は自分が殺ったとバレたくなかったみたいに取られられちゃうよ。」
"敵"は自己満足の為に動いている説がある。
自己満足なら世間に知らしめた方が満足に浸りやすい。