妖怪ヒーローアカデミア2
□66話
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取り憑かれそうになっていたことに気付き身を引く。
御札のようなものを取り出して女の子と戯れるお父さんを見ていると、橋の手すりに座っていたジバニャンが何かに気付いた。
「川の横になんかいるニャン。」
『下に?水を飲みに来た動物かな?』
お父さんの手を離して下を覗くと、二足歩行の生き物がうろうろしていた。
『色から見て野生の動物じゃないね。
人間みたいだけど小さい…。』
「あの赤いのってマント?
髪の毛も見えないし禿げてるかマスクでもしてるのかな?」
お父さんと女の子がどうしたの?と橋の下を覗いてくるが何も見えていないようだ。
ふと、視線を感じたのだろうか、川の横にいた生き物が此方に顔を向けた。
『…あ!
あの見た目ってお金ナイダーだ!』
お金ナイダーは俗に言う貧乏神で、取り憑かれるとお金に嫌われてしまう。
見た目は半裸のピッタリした短パンに高さのある下駄、ヒーローを意識した口から上の仮面、赤いマントを靡かせている。
「お金ナイダ〜ァ?
何でこんな人里離れた場所にいるんでしょう?」
「お金でも拾ってるニャン。」
「さすがにこんな山の中の上流にないでしょ…。
でもたしかに気になるね。」
お金ナイダーは貧乏神故にお金に執着している。だがこんな山の中にお金があるわけがない(もしかしたらお宝探してトレジャーハンターしてるかもしれないが)。
「妖怪かい?」
『うん。あそこにいる。』
お父さんの質問に答え、お金ナイダーがこんな所にいる理由が気になったので、私はウィスパーとフゥ2の腕を掴む。
『何か事件の事で知ってることがあるかもしれないから聞いてくるね!』
「うん。任せたよ。
川ならダムから階段が…、」
「え、霊和ちゃん何して、」
「これってもしかして……」
お父さんが頷いたのを聞いて、私は手すりから一度離れると助走を付けて飛び下りた。
「やっぱりぃぃいぃい!!!」
「うわぁぁぁああああ!!」
「オレっちを置いていかないでニャーーン!!」
ジバニャンの悲痛な叫びを背中に浴びながら落下していく。
すぐに我に帰ったフゥ2が力を込めて浮き上がろうとする。
落下速度が下がり、フゥ2に即されてウィスパーも浮遊しだした。
『よっ、と。
二人ともありがとうね。』
「霊和ちゃんの行動にはいつも驚かされるよ……。」
「死ぬかと思いました……。」
着地してすぐに二人は倒れ込んだ。