妖怪ヒーローアカデミア2
□74話
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刹那いっくんが居た場所に鋭利な鉄が刺さっていた。
「"敵"だニャン!」
腕を鋭利な鉄に変える"敵"の個性は、雷雲から発せられる電気が走り痺れたようですぐに引き抜かれる。
いっくんを狙って次々と腕を振るい、勢いでいっくんは壊れた壁から外に放り出された。
「「出久/くん!!」」
フゥ2とウィスパーがいっくんを助けに行っているのを横目で確認し、私はメダルをジバニャンに変える。
『百烈肉球!』
素早く拳を振り、顔目掛けて爪を鋭くして引っ掻く。離れた処にいっくんのSMASHが当たり撃沈した。
その後も襲い掛かってくる"敵"を倒しながらタワー最上階まで行き、中央エレベーター前の保管室までたどり着いた。
「あれって…、」
『デヴィットさん?』
「あっパパ!」
「本当だ…。」
『え?パパ!?』
ここに来て新事実を知ってしまった。
デヴィットさんは機械をいじくり保管室を解除させ、中身を小太りなおじさんに取り出させる。
「プランどおりですね。
"敵"たちもうまくやってるみたいです。」
「ありがとう。彼らを手配してくれた君のおかげだサム。」
手配?
メリッサさんはその言葉に呆然としながら足を進めた。
「パパ…"手配した"って何?」
「……」
「もしかしてこの事件パパが仕組んだの?
その装置を手に入れるために…。
そうなのパパ?」
デヴィットさんは長い沈黙の後、顔を歪めて肯定した。
メリッサさんが問い詰めようとしたら小太りなおじさんが必死に弁解をする。
「博士は奪われた物を取り返しただけです。機械的に個性を増幅させる、この画期的な発明を。」
「個性の増幅?」
「ええ。まだ試作段階ですが、この装置を使えば薬品などとは違い人体に影響を与えず個性を増幅させることが出来ます。」
しかし発明と研究データはスポンサーに没収され、この装置を世界に公表すれば超人社会の構造が激変すると恐れた各国政府が圧力を掛けてきて研究自体を禁止させられた。
だからデヴィットさんと小太りな助手は"敵"を装った者に盗ませ、その後に別の場所で研究を続けるために偽のテロを起こした。
『なんで…何でテロを起こすと決めていたなら私のお父さんを招待したの!?
こんな危険な目に合わせるってわかってたのに!』
「彼には済まないことをした…。誰も呼ばないと怪しまれるからという理由で彼を選んでしまった。」
怪しまれないためにお父さんを利用したのか。
「そんな…。
こんなのおかしいわ。私の知ってるパパは絶対そんなことしない!なのにどうして…どうして!」
「…オールマイトのためだ。
お前たちは知らないだろうが、彼の個性は消えかかってる。だが私の装置があれば元に戻せる。いや、それ以上の能力を彼に与えることができる。」