妖怪ヒーローアカデミア2
□82話
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目を覚まして見覚えのある光景にまたか…とぼんやり考えてたが、意識がなくなる前のことを思い出して飛び起きた。
「霊和ちゃんおはよう。
起きてすぐで悪いけど、一刻を争うんだ。落ち着いて聞いてね。」
6畳程の個室に数十もの友達が集まっていた。
フゥ2の隣にはフユニャンがいて、サキちゃんやふぶき姫、コマさんコマじろう、キュウビ、妖怪ガッツK、窓の外にも沢山の妖怪が覗いている。
心配する声や安堵する声、疲れやため息をついている音、それぞれの音が騒音となっている。
フゥ2が捲し立てるように話し始めると全員が無言になった。
「勝己とジバニャンが"敵"に誘拐された。それに妖怪ウォッチCと霊和ちゃんのポケットの中にあったメダルも全部盗まれたんだ。」
『かっちゃんとジバニャンが…!?』
狙われていたがまさか連れ去られていたなんて思いもしなかった。しかもジバニャンまで…。
唖然としながらも無意識に左手首を掴んでいて、そこにいつもある物まで無くて消失感が心を渦巻く。
ジバニャンはかっちゃんに引っ付いていたらしく、そのまま一緒に連れ去られたらしい。
「ジバニャン達も心配だけど、妖怪ウォッチCとメダルを取られたことも問題だ。」
今まで妖怪ウォッチの事はお母さん、お父さん、いっくん、かっちゃん、そして今のクラスメイトにしかどういうものか説明していない。
それほど内密されているものが盗まれたんだ。
「勝己はヒーローが助けてくれるとして、妖怪ウォッチCとメダルとジバニャンを助けてくれるヒーローはいない。
だから俺達(妖怪)だけで取り返そうと思っていろいろ動いてたんだ。
相澤先生と一緒にいるオロチから情報を貰ってね、ヒーロー側が"敵"のアジトを見つけたって言うんだ。」
『相澤先生!
相澤先生と洸汰くんはどうなったの!?ウィスパーもいない!』
「皆無事だよ。
ウィスパーは今オールマイトと一緒にいるはず。
霊和ちゃんが一人になっちゃったのはね…、」
フゥ2は言葉を一度切り窓に近付くと、いい加減出てきなよ。と誰かに声を掛ける。
一時の間の後、何かがニュルっと病室に入って来た。
茶色ベースの横縞模様の角の丸い三角形みたいな身体に、足はなくがっしりした腕だけがある。頭は髪の毛なのか緑色になっている。
「コレが"だいだらぼっち"。」
『だいだらぼっちって伝承もある…てことは古典妖怪だね。』
だいだらぼっちは山や湖沼を作った神様とも言われる妖怪で、山程の大きさもある巨人と云われている。
実際のだいだらぼっちは私よりも小さく人の形もしてない。この形は多分山と同じだ。