妖怪ヒーローアカデミア2

□84話
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やはりオール・フォー・ワンは妖怪の事を知っていたのだ。私が体育祭でテレビに映った事で、現代にも妖怪ウォッチが人間界にあると知られた。そして妖怪ウォッチを知っているということは、以前妖怪が見えていたのだ。

『妖怪ウォッチを盗んでどうするつもりなの?
持っていてもその妖怪ウォッチは私にしか使えない。』

「百年で新しい妖怪ウォッチが作られたのか…。
残念だ。僕も妖怪の友達が欲しかったのだけどね。」

とてもじゃないが本心には聞こえない。何か企んでいるときの声色だ。

「百年前は惜しかったよ。僕は妖怪の"使いのいい友達"を作り、妖魔界を手中に治めるつもりだった。人間が混沌に襲われ妖怪内でいざこざが起き、全てが闇にそまる…はずだった。それをエンマに阻まれ人間と妖怪は分断された。
妖怪ウォッチが消え、妖怪が見えなくなった時はドン底に落ちた気分になったよ。妖怪を見つけ出そうと霊を見れる個性をどんなに吸収したことか…。今、こうして妖怪ウォッチを持つことができた僕の努力は報われたんじゃないかね?」

ウィスパーが、盗んだだけじゃないですか!と非難する。続けてフゥ2も罵倒する。

「妖魔界と人間界を分断したのはアイツだったんだ!
見た目は変わっちゃってるけど生きてるのは…不老不死の個性を盗ったから…!?
お前のせいで人間と離ればなれになったんだぞ!」

フゥ2は自分の声が届かないことにヤキモキした。

『妖怪は道具じゃない!人と同じ心を持ってるの!世界を征服するような人に屈服する程弱くもないんだから!』

ブンブン鳥にもう一度妖怪ウォッチCを取り返すよう頼む。しかしまた縄が弾かれて取り返すことが出来なかった。

『なんで…、』

「先程からバチバチ煩いなァ。ハエでも集ってるのか?
嗚呼そうそう、僕に妖怪の力は効かないよ。
妖怪は単純で有り難い。少し強いお札で退魔出来るなんてね。」

『え!?』

思わずフゥ2を見ると苦虫を噛み潰したような顔をしていた。どうやら本当のことらしい。

「この妖怪ウォッチは後々解析するとして…体育祭で付けていた妖怪ウォッチも欲しいなァ。」

オール・フォー・ワンが目を細めたと同時にオールマイトが私の名前を叫ぶ。気が付いた時にはオール・フォー・ワンが近付いて…否、私に糸のような個性が巻き付けられ引っ張られることで足が浮いていた。
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