妖怪ヒーローアカデミア2
□87話
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会話もそこそこにして、本来の目的である場所にいかなくてはいけない。
『それじゃ、私達行くね。』
「またあいつの所か…。間違えて死ぬなよ。
まだ霊和が妖怪になるには早ぇぜ。」
『うん。気を付けて行ってきます。』
ツリーハウスを後にして、次こそはえんえんトンネルだ。
家もなく山へ続くだけの道を歩き、こっそりと造られたトンネル前に来る。そこは初めて来た時と違い、閉鎖する物が何もなく中の闇をそのまま映していた。
『中に入ったら後ろを振り返らないでください。』
「…何かあるのか。」
『いいえ、何もないんです。だから振り替えっても問題はないですけど…怖くなるし不安になるので振り返らない方が精神的にいいと思います。』
苦い顔をした相澤先生は固唾を飲み、私の後についてトンネルに入る。
皆にはわからないが、私の耳にはえんえん…と子供の泣き声が聞こえる。
念のためと、相澤先生と手を握って進む。フゥ2達は怖いので私と相澤先生に引っ付いている。
暫く歩くと、前から犬を引き連れた少年と青年の間くらいの男性が歩いてきた。
『こんにちは。』
「きみはおもちゃを大切にする子だ。ではひとつを捨てるとしたら"昔から大切にしているおもちゃ"、"新発売のすばらしいおもちゃ"のどちらを捨てるんだい?」
『昔から大切にしてるおもちゃだよ。』
「これをあげよう。」
駄菓子屋で売っているような小さなガムを貰う。
闇へと去っていく男性を見ながら相澤先生は眉を潜める。
「こんな所を散歩か?」
『もともとは散歩だったんじゃないかな…。あ、です。
此処で会う人は皆このトンネルの中で死んでるんです。』
「は!?じゃああれは幽霊か…?」
『はい。』
無意識に手を離そうとしている相澤先生の手を力強く握る。
『此処の幽霊は手を離しても見えますよ。トンネル内の霊力が強いので霊感が無くても見えるんだと思います。
初めて来た時からフゥ2達も幽霊が見えていました。』
「なら離しても問題ないだろ。」
『幽霊は無害だけど、人に飢えた妖怪が襲ってくるので見えないと危ないです。』
幽霊は見えても妖怪が見えるとは限らないからだ。他の人間と一緒にトンネルに入った事がないので妖怪が見えるかわからないので手を繋いでいてほしい。