狩人×OP

□16.理由U
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船に乗り込みとりあえず一段落つくと、辺りを見渡してアルカを探す。
アルカはあのマルコとかいう特徴的な髪型をした人に預けたから大丈夫だとは思う。


何たってあの人は俺より強い。
それこそ俺の予想だが多分イルミと同じくらい強いだろう。
今は手負いの自分よりあの男と一緒に居た方が安全だと思うし何てったってここは戦場だ。
何が起こるか分からないのだから。

アルカの安全もそうだが、それともう一つ問題が生じていた。





「じゃぁ、この船に今のルフィを治療するだけの腕をもってる医者は居ないってことかよい?」
「あぁ、コッチも襲撃に遭ったりしてるからその時に……」



そう、今最大の問題はこれだ。

ルフィの兄、エースを奪還して船に戻ったものの大砲やら何やら色んな物が飛び交い丁度その流れ弾にこの船の一番の腕の医者が当たってしまい応急処置はしたが未だ目は覚めていないらしい。

「じゃあルフィはどうなるんだよ!!?」

治療が出来ないことに焦るエースを落ち着け、とマルコが咎めると船医から視線を外してさっきから黙り込んだまま一言も喋らないキルアに向けるとそれに気づいたキルアも顔を上げてマルコを見る。

「お前は何か無いかい?さっきから一言も喋らねぇが」

マルコの一言でその場に居た全員の視線がキルアに集中する。

「無いことも無いけど可能性としては五分五分ってところかな」
「治療出来る医者がいんのか!?」

キルアの言葉にいち早く反応したエースがガシッとキルアの肩を掴むが、痛いから離して、とやんわり掴まれた肩を外すと悪ぃと言って謝るエースにまた再度マルコに眼を向けて真剣な顔つきで答える。

「この近くに居る可能性が有るってだけで本当に居るとは限らないし俺が心当たり有るって奴は海賊だからルフィの治療をしてくれない可能性だってある。しかも相手とは一回顔を合わせただけ」

そのことを含めての五分五分ということなのだと、

「それでも良い。助かる可能性が在るならそれに賭けたい」

可能性が少なくとも在るなら諦めないのだというエースは血は繋がっていなくても や はりルフィの兄貴なのだと改めて感じた。
それと同時にこれが兄というものなのだと思った。
キルアとて同じ状況だったら絶対同じ事をする自信はある。

しかしアルカはどうだろうか?
5年以上もイルミ念のせいだとはいえあの部屋にアルカを独りにしていたのだ。
アルカ自身気にしてない、と言うよりは良く分かっていないようにも見えるが実際はどうかは分からない。

「(今はそのことを考えてる場合じゃないだろ俺)」

ネガティブ思考に突入していたが今の状況を思い出し今はひとまずそれは頭の隅に追いやり話を再開させる。

「噂で聞いただけだけど、今シャボンディ諸島に億越えのルーキーが集まってるのは知ってるだろ?」

何人かは途中まで話を聞いて何をいいたいのか察しがついたように見える。
まぁ、アレだけ新聞に載るなどして世間を騒がせているだから新聞を読んでいる奴なら大体は知っているだろう。

「大体はな」
「インペルダウンに居ても情報は入ってきてたわ」
「けどそれがどうかしたのか?」

話の途中でインペルダウンとか絶対出られないといわれる(らしい)牢獄の名前が目の前の印象が濃いすぎるこの男?女?に、あの入ったら出ることは不可能と言われている牢獄(シャンクス談)からどうやって出たんだ?とかアンタ捕まってたんだ…とか色々と聞きたいことは沢山あるが今はそれどころではないのでスルーする。

「俺も新聞とかで知ったんだけどシャボンディ諸島に集まったルーキーの中に外科医が居るんだよ。しかも腕は確からしいぜ」
「それ本当か!?」
「正確には【死の外科医】だな。確かに超新星の中に居るらしいがそいつがまだそこに留まってるとは限らねぇんじゃないのかよい?」

喜ぶエースに腕を組んで
最もなマルコの意見に誰もが頷く中でキルアだけはどこか確信めいた口調で答える。

「いや、シャボンディ諸島には居なくてもこの近辺には居るはずだよ。もし俺が超新星ならそうするから」

イルミと少し似ている無表情で今この場にいるマルコとエース、ジンベエ、イヴァンコクの五人をみる。
キルアの感情の読み取りにくい無表情な顔は今ではもう居ない男のピクリとも動かない無表情な顔に似ているのにその眼差しから彼にはない強い意志を短観見た気がした。

「五分五分だとは言ったけどいまのこの状況だ。試す価値はあるんじゃない?」
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