狩人×OP

□7.追う者と逃げる者
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※ほんの少し血流表現有りなので注意無理な方はバックをお勧めします。











オークション会場から離れ、今キルアはある人物を探していた。

耳を澄まして僅かな音も聞き逃さず気配を殺して歩いていると、ある部屋の方から声を張り上げて何やら怒鳴っているのが聞こえ、そこに足を向けて相手にバレないようにドアを開ける。





ドアを開け、中を覗くと自分が探していた人物がは確か電伝虫?だったか。

相手に怒鳴り散らして、その様は可笑しくてつい笑いそうになるのをなんとか堪える。

気を引き締めて相手の会話に耳を傾けると。









「……この過去最悪の危機に俺を見捨てるの『黙れ…』

『面倒臭ぇ野郎だ』






何だ?喧嘩のようには聞こえないけど……





『……【新時代】は近づいて来ているのだよディスコ君』


『…!?』







新時代?電話の相手はいったい何いってんだ?




『俺達は今…海軍の【強制召集】を受けている』




海軍って言ったら確か海軍本部がシャボンディ諸島の近くに在るから問題起こしたら大将が来るとか何とか言っていたな。

ってもう問題起こしてんだったな……確実に大将くんじゃん。



そんな事を考えてると、電話の相手が少し間を空けてまた話出したのでそっちに集中する。









『【白ひげ海賊団】VS【王下七武海】!!!』



扉の向こうの男が息を呑む音が聞こえる。



王下七武海っいったら海賊だけど海軍の味方……ではないけど海軍側の人間とか何とかナミがこの世界を説明してくれた時に言ってた気がする。

けど白ひげって誰だ?聞いたことねぇー…いや、来たばっかだし当たり前だけど。

話も終わるみたいだしそろそろ出ても良いだろう。 

ワザと気づくように音を立ててドアを開ける。









バタンッ










「ッ!!?」


流石に気づいたらしい男はこちらをバッと振り返った。





「話終わった?いい加減待つの疲れたんだよね」

「お、お前いつから……!!?」



さっきからずっと居たんだけどね……。


「そんな事今はどうでも良いよ。てかあんたがここの責任者だよね……?」

「ッ!!」

「何も言わないってことは肯定とみなすよ」


そう言うと男は焦り、言い訳じみたことを言い出した。


「ち、違うんだっ!!」

「何が違うってぇの?」



呆れてキルアの表情は段々無表情になっていく。





「確かに俺はここの責任者だが、お前の妹を持ってきたのは別の奴だっ!!!」










何を言い出すかと思えば……



「そんなの関係ないよ。結局はあんたがそれを引き取って売った事にはかわりないでしょ?」

「ま、待ってくれっ!!何が欲しい?お前が欲しいもん何でもやる。だからっ…!!」


キルアは俯いて溜め息をはくと再度男を見ると。

余程怖い顔をしていたのか男は「ヒッ」と悲鳴をあげる。



「今更何いってんの?人の妹に手ぇ出しといてタダですむと本気で思ってんのあんた」




本当にそう思ってんならかなりおめでたい頭だ。





「俺の大事な妹に手ぇ出したのがあんたの運のつきだったね」





言うのと同時に男との距離を一気に詰める。

あとは一瞬の出来事。





足元には血が飛び散っていた。

キルアはそれを冷めた目で見下ろすと、電話がまだ繋がったままなことに気づく。



「あんたの部下殺しちゃった。悪かったね」


おちゃらけたように話かけると電話の主はさも面白いというようにフッフッフッと笑う。



『いや、大丈夫だ。それよりお前は誰だ?』

「……そんなの正直に言う奴がいると思う?」




男はキルアの返答が面白かったのか、それもそうだ……!!とまた男は笑う。

良く笑う奴だな…と呆れ顔でにやけた顔をしている電伝虫を見る。





『まぁ、聞かなくても大体予想はつく………キルア・ゾルディック…だろ?』

「……!!?」

『何でって思ってるだろ』

「………」



沈黙は肯定しているようなものだが敢えて何も言わなかった。
それも承知の上かそうでないかは解らないが、フッフッフッと笑う。



『フッフッフッ…まぁいい……そんなお前に良いことを教えてやろう』

「……良いこと?」


良いことが気になって思わず聞き返す。

男はかかったとばかりにニヤリと口の端を上げる。









『お前の兄、イルミ・ゾルディックはシャボンディ諸島に海軍大将と一緒にそっちに向かってる』

「ッ!!!?ー…んなの信じられる訳ないだろっ……!」

『信じるか信じないかはお前次第さ』

「…………」


こいつが言っていることは本当なのか?
でも本当だとして何で兄貴がここに……?



でも、この話が事実とは限らないし、この男が鎌を掛けているとも考えられる。




「あんたの言った通り俺はキルア・ゾルディックだよ」


「あんたが何で兄貴のことを知ってんのかは分かんないけど、何で俺に教えたの?」

『何でって?……フッフッフッ』



何が可笑しいのか先程よりも大きく笑うと話を続ける。



『面白くなりそうだからだよ…!お前達がこれから何をしでかすのか見てみたくなったから、とでも言えば満足するか?
精々俺を楽しませてくれよ、異世界人……!!』

「何でそれを……!!?」






ブツッ






質問に答えないまま男は一方的に電話を切った。


「……切りやがった」



一体全体どうなってんだ……電話の男はどうやって俺達の存在を知った?



それより今はそれどころではない。

もしこの世界に兄貴が居るなら近いうちに必ず会うだろう。

正体も解らない男の話を信じるかわけではないが最悪の事態を考えるとゾッとした。

そうなる前に何とかしなくてはならない。









「ホント次から次へと問題が起きるな……」


そう呟くとその部屋を後にしてルフィ達の所に向かう。
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