Scandalous Red 〜契約遊戯〜

□『終わらぬ悪夢』
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ーーシオンは自分専用の天蓋付きのキングサイズの大きな寝台の上で童虎と共に居る。


ーー何度も朝方近く迄抱き合い、互いに果てたか分からない…。


シオンの隣で静かに寝息をたてる童虎の一身纏わぬその扇情的姿に胸が疼くのを感じつつ、鍛え上げられてその引き締まった童虎の背中をさらり…と触れ撫でた…。


「…ん……シオン……。」

「…………っ。」


シオンの触れたその指先で僅かに身じろぎ、掠れた声をその唇から零す童虎にシオンはフッ…と優し気に微笑する。

ーーそうして、シオンは静かに再度寝息をたて始めた童虎の顔に自身の顔を近付けて、その金茶色の前髪をふわり…と自身の指先で掻き上げてから、露わになった額へとキスを落とす…。

そして、シオンは揺れる視界の中ポツリと呟く。

「童虎よ…。良い夢だった…。お前にまさか抱かれるとは思いも寄らなかった…。何故知っておるのか分からんが、私の弱い所ばかりを攻めおって…。お陰で身体がまだおかしいわ…。」

そう呟きながら、シオンは純白色のシーツに流れる童虎の金茶色の髪を撫で続ける…。


そして、シオンは再度童虎の眠るそのやんちゃそうである秀麗な顔を見つめたまま、


「……此れでお前の幻を見ながら、堕ちれるな…。」


そう小声で呟き、哀し気にその紅銀色の澄んだ双眸を細めた後、下へと下ろした…。

シオンの金色の長い睫毛が微かに震えていた…。


ーー其れに気付いてくれた童虎は眠っている。


シオンはフッ…と自嘲気味に微笑し、するりと自分の肩を抱く童虎の逞しい腕の間をすり抜けてから、寝台を静かに降りた…。
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