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□帰り道で○○本を見つけました。
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『下校の時間になりました。全校のみなさん、今日も、一日、なかよくすごせましたか?校内に残っているみなさんは、急いで下校しましょう。帰り道では、車に、気を付けて帰りましょう。明日も、元気に登校しましょう。では、みなさん、さようなら』

静かで落ち着いた下校の音楽と共に、放送委員の声が学校に流れ、くつ箱にランドセルがひしめき合っている。そんな中に、彼らの姿もあった。

「ジャーファルー、帰るぞー」
「うん!!」

シンドバッドとジャーファルは近所に住んでいて、学年は違ったが登下校はいつも一緒。発育の良いシンドバッドと、背の順で並ぶと必ず手を腰に当てる係のジャーファルが並ぶとランドセルの大きさが違って見えた。

「あー、腹へったなぁ。今日のメシ何かなぁ」
「もうごはん食べたいの?」
「成長期だからな!!」
「なにそれ?」
「大きくなるためにいっぱい食べるんだ」
「いっぱい食べたら大きくなるの?」
「ああ!!」
「なら、おれもいっぱい食べる!!」
「なに、おまえ大きくなりたいの?」
「うん」
「じゃあいっぱい遊んでいっぱい寝なきゃダメなんだぞ!!」
「そうなの?」
「ああ、母ちゃんが言ってた」
「へー、じゃあシン、あ
そぼ!!」
「お、良いぞ、向こうの電柱まで競争な!!よーいドン!!」
「え、えっ、?!待ってよシン、ずるい!!」

犬の散歩をしているおばちゃんが微笑ましそうに二人を見ていた。


「おまえ、相変わらずおっせーなぁ」
「シンがいきなり始めるからだよ!!ちゃんとやったら負けないもん」
「お、言ったな?」
「言ったよ」
「じゃあお前がよーいドンって言って良いぞ」
「いいよ、あそこの角までね。よーい、どん!!」

まあ、いくらジャーファルが言ったとしても小2と小5の差なんてたかが知れてるわけで、シンドバッドは大人気なくどんどん差を開いていく。

「ふはははは!!おせー!!」
「むー!!」

と、いきなりシンドバッドが足を止めた。
ジャーファルもそこまで追いつき、足を止める。シンドバッドはうなだれている。

「……っはぁ、はぁ、……ど、どうしたの?」

「……………犬のウ○コふんだ」

「………………………………」
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