ブック

□帰り道で○○本を見つけました。
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学校前の大きな通りから、住宅街への小路に入る。

ズリ、ズリリ。

シンドバッドは踏んでしまった方の足を引きずっていた。

「だ、大丈夫だよシン!!あらえば落ちるんだし!!」
「だからってなぁ……ジャーファル、このいたたまれなさは踏んだやつにしか分からない苦痛なんだ……しかもな、時間がたってるのなら良かったが産まれたてホヤホヤのあの感触はトラウマものなんだぞ」
「……どんまい、シン」
「ああ……絶対さっきのおばさんだ……次会ったら超にらむ」
「あっ、シン、あそこのアパートの水道借りようよ」
「ああ、そうしよう……」

二人は近くにあったアパートの共有水道まで行った。


「あーあ……何で俺がこんな目に」

これだから近ごろのオバチャンは、などとぶつぶつ言いながら靴を洗っていると、

「あれ、ジャーファル?」

ふと顔をあげたときにジャーファルがいなくなっていた。きょろきょろ見回すと、ごみ置き場の前に背を向けてうずくまっている。

「ジャーファルー!!なにしてるんだー?」
「ねーシン、こっち来てよ!!」
「?」

珍しい虫でもいるのか、と近づく。

「シン、見て!!」
「うわぁああぁあ?!」

ジャーファルが無
垢な瞳で見せてきた本の表紙には大きく巨乳のお姉さんが水着姿で載っていた。

「子どもは見ちゃいけません!!渡しなさい!!」
「なんで。いいじゃん、それにシンだってこどもじゃん」
「いや、でもお前にはまだ早すぎる!!」

と言うと、シンドバッドはジャーファルの手から写真集を取り上げた。

「あっ、なにするんだよ!!」
「教育に、よろしくありません」
「意味分かんない」
「お前には10年早い」
「なんで」
「そう決まってるからだ」
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