Du bist mein Licht
□sieben
1ページ/3ページ
「……ん…?」
いつもと異なる感覚に違和感を覚えて、零は目を瞬かせた。
ぼんやりとする思考を巡らせて、自らの現在の状況を確認しようと身体を捩る。
ここは、私室だ。メフィストの館の中にあるいつもと変わらない場所。でもこの感じる重みと違和感はなんだろうか?
それに、視界いっぱいに広がる白と、この、嗅ぎ慣れてしまった匂いは。
「…メフィ、スト?」
恐らくメフィストに抱き締められているのだろう。近くから規則正しい寝息が聞こえてくる。
珍しい、とそう思った。メフィストは多忙だ。多忙故にこんな風に寝たりすることなど貴重だからだ。
「………」
自分は昨日、どうしたのだったか。思い出そうと頭を捻ってみる。
「…い、っ……」
ズキリ、と頭が痛んだ。
思い出せない?いや、思い出したく、ないのだろうか。
メフィストが起きたら聞いてみよう。
…と、そこまで考えて、ふと冷静になる。
「…………」
なんで、メフィストが、自分を抱き締めている?
先程までぼんやりとしていた思考が急に鮮明さを取り戻した。
しかも何故自分はこれを受け入れて、抱き締め返しているのだろうか?
「……チッ」
スパァンッ!!と零のビンタが炸裂した。
「い"っ!!!!たぁ!?」
……メフィストの、脳天へと。
・