紅き叫びと銀の誓い
□紅の鼓動
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月は、何者にも犯されてはいけないのだ。
月は、全てを見通し、決して輝きを失うことのない、人の侵してはならない領域なのだ。
その輝きは、全てを包み、癒し、人に幸福を齎す。
月は、決して穢れてはいけないのだ。
「そう…月は神なのだから」
古から信仰されし"月の女神"
月は邪悪を滅ぼし、人々を救う。
「でも"物語"は綺麗なだけじゃない」
物語は脚色され、歪み、口伝はやがて薄れゆく。
そうして物語の肝心なところは、見えてこないのだ。
「例えば…もう一人、"月の女神"がいたとしたら?」
改竄された歴史。物語は必ずしも正しく歴史を語るわけではないのだ。
「"一方"は月の神として崇められ、"もう一方"は、不吉の化身として虐げられた」
だけどそれを知る人物は、もういない。
何故ならみんな、正しい歴史を語らずに、消えていってしまったのだから。
「満月と新月──…決して交わることのない、異なる輝きを持つ、二つの月」
陽と陰。光と影。それは決して相容れない。
「そして、僕は」
出会ったんだ。
「紅」の輝きを持つ、君に。
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