Du bist mein Licht
□Zwei
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全く厄介なことをしてくれたものだと、零は溜息をつく。
魔障の儀式の途中に、燐が鬼族の好物の入った試験管を割ってしまったのだ。
それに反応した小鬼が、轟音を立てて天井を破り、教室へと侵入してくる。
「はあ………」
零は深く溜息をついて、ブレザーの裏に忍ばせていた銃へと手を伸ばす。
「ダメですよ、零さん」
そうメフィストに耳打ちされて、ああ、そういえば禁止されていたんだったか、と一つ舌打ちをした。
「教室の外へ避難して!」
雪男に教室の外へ出るように促されて、零は素直にそれに従った。
メフィストをちらりと一瞥すると、待っててくださいね、と言わんばかりに、ばちん、とウィンクをしてくる。
零はそれを睨んで、溜息を一つついて教室を後にした。
「(…メフィスト、お前は何を考えている?)」
彼の考えは、預かり知れない。
彼が燐を使って何を成そうとしているのか。
考えれば考える程分からなくなっていく。メフィストに対して疑心になっていく。でも、それでも。
「(……私はアイツに従うだけだ)」
零は彼に従うのだ。
初めて出会ったその時から。零は彼に、自らの魂を売ったのだ。
終幕まで、この目で彼の成そうとしてることを見届けると。
彼は、零の恩人なのだから。
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