江路学園へようこそ!

□親衛隊パニック!
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で、その翌日
迷惑なものがつっこまれた下駄箱のかわりに──

『おはようございます、揚羽様っ!』

ズラリと並んだ男の子達がいた

「あ、はい‥おはようございます…」

すっごい眺め
わんこくんに、ネコちゃんに、小悪魔っ子まで…

朝からなんて天国!
でも、あのぉ‥ココ、玄関なんですけどι

どうしたんだろうって思ってたら、ずらりと並んだその中から1人の子が俺の前まで来た

あれ? この子──

「弥尋ちゃん?!」
「はいっ、弥尋です。覚えててもらえたなんて…嬉しいです」

弥尋ちゃんはそう言って、キラキラした目で見上げて来る

覚えてるってぇ、イイ思いさせてもらったしね♪

でも、なんで弥尋ちゃんが?
しかも、玄関にズラリと並んで…

「それで、こんなトコでどうしたの?」
「実は、揚羽様に許可してほしいことがあって待っていました」

俺に?
弥尋ちゃんだから変なコトではないと思うけど…まったくわからないι

「その許可して欲しいコトってなぁに?」
「実は‥揚羽様の親衛隊を作ることを許してほしいんです」
「…へ?」

ピシリ、とかしこまって弥尋ちゃんが言う
その目はすごく真剣

でも‥今、なんて言った?

「揚羽様には迷惑をかけないようにします…貴方の役に立ちたいんですっ。揚羽様の親衛隊を作ることを許して下さいっ!」
『お願いします!』

みんな頭を下げて、すごく一生懸命にお願いしてくる
可愛い子たちにこんなふうにお願いされて、断れるヤツがいたら見てみたいね

「いいよぉ」
「‥えっ!?」

こんなあっさりオッケーされると思わなかったみたい
みんな驚いてコッチを見てくる

「これからよろしくお願いします」
「あ、揚羽様…っ」
『こちらこそ、よろしくお願いします!』

みんな目をキラキラさせてて、中には潤んでる子もいる
可愛いなぁ〜

なぁんて思ってたら──

「玄関で、なに固まってんだ…」

和やかな空気の中に、冷たい声が響き渡った

あれ? この声は──

振り返ったら、やっぱりそうだった

「不良くぅーんっ!」
「…っ!」

人混みをかきわけてきた不良くんにジャンピングアタック!

そんでギューって抱きつく
そしたら、不良くんからいい匂いがした

石鹸の香りだ〜

「離れろ、この馬鹿っ!」
「い〜や♪」
「あ、揚羽様っ…その方は…?!」

俺の腕の中で暴れる不良くんを抱きしめてると、弥尋ちゃんが硬い表情をして聞いてきた

知らないんだったら紹介しないとね!

「あぁ、不良くんはねぇ──」

──♪〜♪〜♪──

でも、説明しようとした俺の声に被さるようにクラシック音楽がなった
チャイムの代わりに流してるみたい

‥ブルジョワめっ!

「あ〜ぁ、残念。時間だねι」
「あの、揚羽様…‥」

弥尋ちゃん達がなんか言いたそうにしてる

あぁ、そうだよね
話してる途中だったもん

「お昼休みに、みんなでご飯食べながらゆっくり話そっか」
『は、はい!』

そう言ったら、みんなが嬉しそうに顔をほころばせた

「じゃあ、僕が迎えにいきますね」
「あ、お願いします」

みんな喜んでくれてよかった
俺もお昼休みが楽しみになったし、いいこと尽くめだね♪

「話‥終わったんなら、早く教室に行け。‥そんでお前は離れろっ!」

一瞬‥話が終わるの待っててくれるなんて、なんだかんだ言って優しいなぁ…なぁんて思ったけど、不良くん冷たい
絶対離れてなんかあげないっ!

そう思ったんだけど──

「ほら、みつ。遅刻するだろ、水瀬から早く離れろ」
「は〜い。仕方ないなぁ…」

響介に言われてしぶしぶ不良くんから離れる
早く行かないと怒られるしねぇ

朝から怒られるのはイヤだもん

「じゃあまたねぇ〜、不良くん♪」
「さっさと行けっ!」
「みつ! 行くぞっ!」
「はいはぁ〜い」

2人の大声に適当に返事をしながらついてく

あんだけ怒ってよく血管切れないよねぇ〜
少しは笑ったほうがいいんじゃないかなぁ?

まっ、怒らせてるのは俺なんですけどね
俺は悪びれなく笑って、機嫌よく教室に向かった

早くお昼休み来ないかなぁ〜






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