江路学園へようこそ!
□親衛隊パニック!
1ページ/1ページ
で、その翌日
迷惑なものがつっこまれた下駄箱のかわりに──
『おはようございます、揚羽様っ!』
ズラリと並んだ男の子達がいた
「あ、はい‥おはようございます…」
すっごい眺め
わんこくんに、ネコちゃんに、小悪魔っ子まで…
朝からなんて天国!
でも、あのぉ‥ココ、玄関なんですけどι
どうしたんだろうって思ってたら、ずらりと並んだその中から1人の子が俺の前まで来た
あれ? この子──
「弥尋ちゃん?!」
「はいっ、弥尋です。覚えててもらえたなんて…嬉しいです」
弥尋ちゃんはそう言って、キラキラした目で見上げて来る
覚えてるってぇ、イイ思いさせてもらったしね♪
でも、なんで弥尋ちゃんが?
しかも、玄関にズラリと並んで…
「それで、こんなトコでどうしたの?」
「実は、揚羽様に許可してほしいことがあって待っていました」
俺に?
弥尋ちゃんだから変なコトではないと思うけど…まったくわからないι
「その許可して欲しいコトってなぁに?」
「実は‥揚羽様の親衛隊を作ることを許してほしいんです」
「…へ?」
ピシリ、とかしこまって弥尋ちゃんが言う
その目はすごく真剣
でも‥今、なんて言った?
「揚羽様には迷惑をかけないようにします…貴方の役に立ちたいんですっ。揚羽様の親衛隊を作ることを許して下さいっ!」
『お願いします!』
みんな頭を下げて、すごく一生懸命にお願いしてくる
可愛い子たちにこんなふうにお願いされて、断れるヤツがいたら見てみたいね
「いいよぉ」
「‥えっ!?」
こんなあっさりオッケーされると思わなかったみたい
みんな驚いてコッチを見てくる
「これからよろしくお願いします」
「あ、揚羽様…っ」
『こちらこそ、よろしくお願いします!』
みんな目をキラキラさせてて、中には潤んでる子もいる
可愛いなぁ〜
なぁんて思ってたら──
「玄関で、なに固まってんだ…」
和やかな空気の中に、冷たい声が響き渡った
あれ? この声は──
振り返ったら、やっぱりそうだった
「不良くぅーんっ!」
「…っ!」
人混みをかきわけてきた不良くんにジャンピングアタック!
そんでギューって抱きつく
そしたら、不良くんからいい匂いがした
石鹸の香りだ〜
「離れろ、この馬鹿っ!」
「い〜や♪」
「あ、揚羽様っ…その方は…?!」
俺の腕の中で暴れる不良くんを抱きしめてると、弥尋ちゃんが硬い表情をして聞いてきた
知らないんだったら紹介しないとね!
「あぁ、不良くんはねぇ──」
──♪〜♪〜♪──
でも、説明しようとした俺の声に被さるようにクラシック音楽がなった
チャイムの代わりに流してるみたい
‥ブルジョワめっ!
「あ〜ぁ、残念。時間だねι」
「あの、揚羽様…‥」
弥尋ちゃん達がなんか言いたそうにしてる
あぁ、そうだよね
話してる途中だったもん
「お昼休みに、みんなでご飯食べながらゆっくり話そっか」
『は、はい!』
そう言ったら、みんなが嬉しそうに顔をほころばせた
「じゃあ、僕が迎えにいきますね」
「あ、お願いします」
みんな喜んでくれてよかった
俺もお昼休みが楽しみになったし、いいこと尽くめだね♪
「話‥終わったんなら、早く教室に行け。‥そんでお前は離れろっ!」
一瞬‥話が終わるの待っててくれるなんて、なんだかんだ言って優しいなぁ…なぁんて思ったけど、不良くん冷たい
絶対離れてなんかあげないっ!
そう思ったんだけど──
「ほら、みつ。遅刻するだろ、水瀬から早く離れろ」
「は〜い。仕方ないなぁ…」
響介に言われてしぶしぶ不良くんから離れる
早く行かないと怒られるしねぇ
朝から怒られるのはイヤだもん
「じゃあまたねぇ〜、不良くん♪」
「さっさと行けっ!」
「みつ! 行くぞっ!」
「はいはぁ〜い」
2人の大声に適当に返事をしながらついてく
あんだけ怒ってよく血管切れないよねぇ〜
少しは笑ったほうがいいんじゃないかなぁ?
まっ、怒らせてるのは俺なんですけどね
俺は悪びれなく笑って、機嫌よく教室に向かった
早くお昼休み来ないかなぁ〜
つづきはこちらへどうぞ。