江路学園へようこそ!
□退っ引きならない事情にて!
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今日は待ちに待ったお休み!
けど──
「あとこれも持っていってくれ」
「わっかりましたぁ」
朝から休日出勤中のみつくんですι
もちろん、生徒会メンバー全員同じ状況
「「規制敷地の書類出来たよぉ!」」
「発注したの月曜に届くってー!」
「誰か、風紀の警備計画書見ませんでした?!」
「あ、こっちにあります…!」
歓迎会間近だからみんないつにも増して忙しそう
昨日のコトもあるし、巴先輩たちが気まずくならないか心配してたけど、この状況ならそんなの気にしてるヒマはないね
とりあえず一安心
「風紀まで書類届けに行きますけど、他に持ってく書類とかありませんかぁ〜?」
「「こっちは大丈夫だよぉ」」
「あ、これ一緒にヨロシク!」
「りょーかい♪ じゃあ、いってきますねぇ」
意識を切り替えて、会長と悦に渡された書類を抱えて同じ特別棟の中にある風紀委員会室まで向かう
風紀委員会室は生徒会室の下の階
けっこう行き来が多いから近いのはありがたいね
すぐにエレベーターは目的の階に到着
持っている書類を抱えなおしてエレベーターから降りる
と、いつもなら和やかなはずのソコは戦場へと変わってた
「うわ〜…」
バタバタと行き交う人、人、人
ときどき叫び声とか聞こえてくるし、空気もピンって張り詰めてる
「ドコも大変だねぇ〜」
そう小さく呟いて、走っていく人を避けながら開きっぱなしの風紀委員会室の扉をノックして中に入った
「失礼しまぁす、生徒会からお届けモノで──…あっ!」
「ん?…なっ!」
そしたらソコには不良くんが…コレは、行くしかない!
持ってた書類を近くにあった机に置いて〜、よし!
「不良くぅーんっ!」
「ちょっ! 離せぇぇええっ!!」
不良くん目掛けてジャンピングアタークッ!
ついでにお触りは標準装備です
不良くんのお尻にターゲット、ロックオン♪
「あ〜、癒されるぅ〜」
「っ…‥は・な・せぇぇええっ!!」
──ドカッ──
「いった〜い!」
不良くんにおもいっきり蹴られたー! ちょこ〜っと撫でただけなのにぃ!
…いや、揉んだりもしたかもしれないけどぉ
「お前は会うたびに変な事するんじゃねぇ!」
「お、不良くん顔真っ赤! 可愛い〜♪」
「うっ、うるせぇ! これ持ってさっさと帰れっ!」
「うわ…っ」
そう言って押し付けられた大量の書類
落ちそうになったのを反射で受け取って抱えると、不良くんに背中を押された
「ちょっ、ちょっと不良くん、書類落ちる!」
「うるせぇ! いいから歩けっ!」
「不良くん、横暴だ〜!」
そのまま背中を押されて連れてかれたのはエレベーターの前
不良くんは軽く俺を突き飛ばすと、エレベーターのボタンを押した
「お前はなにするかわからねぇからな。エレベーターに乗るまでしっかり見張らせてもらうぞ」
「そんなコトしなくてもちゃんと帰るってぇ」
「はっ、どうだかな」
まったく、不良くんったら
そんなに警戒されたら逆になにかしなきゃいけない気になっちゃうじゃん
「ふぅん…俺ってそんなに信用ないんだ?」
俺はそう言いながら不良くんを廊下の角に追い詰めるために距離を縮めてく
不良くんはそのまま後ずさってくれて、計画通りエレベーター横の角に追い詰めれた
「い、色々好き勝手しておいて、よくそんな事が言えるな!…っ」
「ふふっ、追い詰めちゃった♪」
背中に壁が当たったコトでやっと状況に気づいた不良くんは、焦った顔をしてコッチを睨んでくる
「お前…!」
「ちょっかいかけるたびに可愛い反応されたら、好き勝手もしちゃうでしょ?」
「っ、そんな反応してねぇ!」
「してるよ。今だってそう、顔赤くしてコッチ睨んでるけど可愛いだぁけ」
「な…っ!」
追い詰めた不良くんに顔を近づけてそっと囁く
そしたら言葉を詰まらせて目を見開いた
あぁもう、ホント可愛い!
ちょっとだけ悪戯しちゃおっかな♪
「ふふっ」
俺の機嫌は急上昇
不良くんの足の間に膝を割り込ませて、身体も密着させる
う〜ん、抱えてる書類がジャマだなぁ
でも落とすワケにはいかないし…まぁいっか、書類持ってても悪戯は出来るし♪
「そんな可愛いと俺、イタズラし──「なにしているんですか、揚羽みつ」
「へ?」
なぁんてワクワクしてたら後ろから声が…
この声は副会長?
そういえば、エレベーターが来た音がしたな
そう思って振り返ると案の定、エレベーターに乗った副会長がいた
「えっと、スキンシップ…?」
コッチを見る副会長の目はものすっごく冷たい
俺、凍っちゃいそうι
「スキンシップねぇ…そちらの君もそう思いますか?」
「え…?」
冷たい目を細めながら副会長が不良くんに話しかける
そしたら、それまでマネキンみたいに固まってた不良くんが気の抜けた返事をした
よかった、副会長の冷たい視線で凍っちゃったのかと思ったよ
でも、そう安心した次の瞬間──
「あっ…ス、スキンシップなんかじゃねぇっ!」
「うわっ!!」
元に戻った不良くんに引き剥がされて、エレベーターの中におもいっきり突き飛ばされる
「さっさと生徒会室に戻って仕事しろっ!」
「ちょっ、不良くん!…あ〜ぁ、行っちゃった」
体勢を立て直した時には遅くて、不良くんは風紀委員室に戻っちゃった
「不良くん…」
うぅ〜、残念
もうちょっと戯れたかったなぁ〜
少し名残惜しくて、視線は未練がましく風紀委員室の方に釘付け情態
でも、そんな俺の視線をエレベーターの扉が遮った
「しつこくしすぎると嫌われますよ」
そう言った副会長の指は閉まるのボタンを押してる
くそぅ、腹黒副会長めぇ〜!
嫌味ったらしくしやがってぇ〜っ!
「限度くらいわかってますから大丈夫ですぅ」
「へぇ、そうですか」
──あれ?
ムカついたから、わざとらしい笑顔で嫌味ったらしく言い返したんだけど…
副会長は冷たく一言返事してきただけだった
おかしいな、副会長のコトだから真っ黒な笑顔で応戦するかと思ったのに
「あの、副会ちょ──「着きましたよ、揚羽みつ」
「え…っ」
副会長は予想外な反応に戸惑う俺を置いて、さっさとエレベーターから降りてっちゃった
「戻りました」
「あ、ちょっと待って下さい!…俺も戻りましたぁ〜」
そのまま生徒会室の中に入っちゃった副会長を追って、俺も滑り込むように中に入る
「「おっかえりぃー♪」」
そしたら元気よく迎えてくれた双子先輩に続いて、みんな声をかけてきてくれた
それに笑顔で返事するけど、俺の心はモヤモヤしてる
原因はもちろん副会長
さっきもそうだし昨日もだったけど、ときどき様子が変な気がするんだよね
なんか副会長らしくないっていうか──
気になって副会長から視線がそらせない
「あ…」
見すぎてたのか、副会長と目が合った
思わずへらりと笑ったら、副会長は俺好みの腹黒笑顔を浮かべて一言
「ずいぶんと暇そうですねぇ、揚羽みつ。休んでる時間なんて貴方にはありませんよ? しっかりと仕事をして下さい」
「…は〜い」
いつも通りの副会長に脱力して、力のない返事を適当に返す
きっと機嫌でも悪かったんだね
俺は副会長にどんどん増やされてく仕事を横目に見ながら深いため息をついた
つづきはこちらへどうぞ。