江路学園へようこそ!

□始まりましたよ、新歓です!
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窓から差し込む光に目を覚まして、空を見上げる
天気は予報どおりの晴れで雲ひとつない空が広がって、まさにイベント日和って感じ

俺は逸る気持ちを押さえながら、クローゼットに常備してある俺用のキレイな制服に着替えて甘い雰囲気を一掃したあと、眠る彼方先輩の髪を軽く撫でて早めに集合場所に向かった

****

集合場所の野外ステージはせわしなく動く風紀委員会の人たちで賑わってる
その間を縫うようにステージの前まで行くと、真剣な顔をした会長と副会長が話してるのが見えた

「早めに来たのにもう居るよ…」

しかもなにしてるのかと思ったら、書類見ながら打ち合わせまでしてるし。2人とも真面目だなぁ〜

俺はそんな2人に思わず苦笑して声をかける

「おはようございま〜す♪ 2人とも早いですねぇ〜」
「…おはようございます」
「おはよう揚羽。お前も充分早いぞ?」

会長はそう言って、さっきまでキリッとしてた顔に微笑みを浮かべた

ちょっ、だからイケメンの不意打ちはダメだって言ってんじゃん!
くそぅ、みつくんキュンってしちゃったよ!

「イベントの時に早く来るなんて、遠足を楽しみにした小学生ですか」
「うるさいですよ副会長」

わー、さっそく副会長の嫌味が飛んできたよー
もうっ、せっかくときめいてたのに〜

「おや、図星ですか?」
「たまたまですよ、た・ま・た・ま!」

ホントは待ちきれなくて来たんだけど…そんなこと絶対言うもんか!

「だいたいそんなコト言って、ホントは副会長がそうなんじゃないんですか〜? 俺より早く来てますし」
「私は帝と打ち合わせをする為に早めに来たんです。貴方とは違うので勘違いしないで下さい」
「俺だって違いますー!」

くっそー、副会長ムカつくー!
このムカつく顔を今すぐ快楽で歪ませたいーっ!

「落ち着け二人とも。恋、皆が来る前に打ち合わせを終わらせなきゃいけないだろう? 早くするぞ」
「っ、わかってますよ」
「揚羽も参加しろ、勉強だ」
「‥は〜い」

すっごいムカついてたけど、会長からそれをなだめるように頭を撫でられて少し落ち着いた
でっかい手に撫でられるのって気持ちいよね

それから打ち合わせに参加して、時間通りに集まった生徒会メンバーと最終確認をして…
いよいよ、待ちに待った新入生歓迎会のはじまりだ!

****

「それでは、新入生歓迎会の説明を始めます」

副会長の腹黒さがにじみ出るすました声がスピーカーから響き渡る

開会式しょっぱなから会長と理事長の美声による失神者が続出してヒヤヒヤしたけど…
保健委員の活躍によって開会式の挨拶もなんとか無事に終わって、スムーズにイベント説明に入るコトが出来た

時間の遅れが出ることもなかったし、俺は安心して副会長の腹黒さ溢れる説明に耳を傾ける

もちろん説明は聞かなくても内容は知ってる
午前中は打ち解けるためにゲームをして、午後からは友好を深めるためのパーティーだ

ちなみにパーティーはドレスコードあり
ソレを聞いた時の俺の思いはひとつしかなかった

──このブルジョアめっ!

これに尽きるよね、うん。

新入生歓迎会でドレスコードありのパーティーなんて…
どおりで編入準備の冊子にパーティー衣装一式って書いてあるわけだよ

「最後に、この後のゲームについてですが──」

さっきの会長たちとは違って失神者が出るコトもなく、副会長の説明がどんどん進んでゲームの説明に入る
もちろん、このゲームの内容も知ってる。

今年の新入生歓迎会のゲームは『ペイント鬼ごっこ』

ゲームのベースは普通の鬼ごっこなんだけど…
ただ違うのは、身体にタッチするんじゃなくてペイント弾を当てることで捕まえたコトになるってトコかな

もちろん鬼は1年で、逃げるのは先輩たち。

体育測定の結果が悪かった人にはハンデをつけたりと優しい設定になってるし、クラス成績と個人成績で景品が出たりするから色々と楽しめると思う

あ、説明を聞いた子たちがさっそくソワソワしだしてるよ…可愛いねぇ〜♪

「1年はジャージに着替えた後、ステージ前で武器を受け取ってゲーム開始までこちらで待機。上級生はクラス委員長から判定用の服を受け取り、着替えてから逃げて下さい。以上で説明は終わりです。それでは、解散!」

副会長のその言葉に、生徒たちがゾロゾロと動き出す。

よし、それじゃあ俺も準備しに行きますか!






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