江路学園へようこそ!

□山と花火と恋模様!
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バスから降りて目に飛び込んできたのは青々と茂る木々や草花。
都会とは明らかに違う澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで、上がったテンションのままに声を上げる

「やっと着いたぁ〜!」

学園からバスに揺られるコト数時間
今回の合宿の場所となった会長の別荘へやってきましたぁ〜♪

他の人も降りてきたみたいでまわりがガヤガヤしてくる
生徒会と風紀のメンバー比率が全然違うからか、まわりはほとんど見たコトのない人たちばかりだった

まぁ、ここに来るまでに何人かは仲良くなったけどね♪

「会長と副会長、どこ行ったんだろ?」

一緒のバスに乗ってたはずなんたけどなぁ

ちょっと心細くなってきて、会長たちをキョロキョロ探すけど見当たらない
困ったなぁって思ってたんだけどその時──

「あっ! 揚羽ーっ!」

聞き慣れたくはない大きな声が、俺の名前をおもいっきり呼んだ

「この声は…」
「こんな所にいたんだなー!」
「やっぱりι」

声の方を向くとソコには、満面の笑みを浮かべてコッチに走って来てるマリモが見えた

なんで風紀委員でも生徒会役員でもないマリモがココに居るんですかね?

一瞬、副会長の補佐にでもなったのかと思ったけど、それなら生徒会の一員である俺が知らないのはおかしいし…
もしかして、知らないうちに風紀委員になったとか?

「よっ、揚羽!」
「相変わらず元気だねぇ〜。ねぇ、ココに居るってコトは…風紀委員になったの?」

確か風紀委員って、風紀委員長の推薦でもなれるんだよね
考えられる可能性っていったらコレくらいなんだけど…

「風紀委員? そんなのなってないぜ!」

え、なってない?
じゃあ、なんでココにいるの?

「今日の合宿、生徒会役員か風紀委員じゃないと参加出来ないはずなんだけど」
「そうなのか? 俺は恋と悦と双子達に呼ばれて来たから知らなかったぜ!」
「へぇ〜」

副会長と悦と双子先輩たちがって──
生徒会の人間が勝手にそんなコトしていいんすか!?

まぁ、ココまで来た以上いますぐ帰れなんて言えないか…

「でも本当は参加出来ないはずだったんだから、あんまり騒ぎすぎないようにした方がいいと思うよ。風紀に睨まれたらイヤでしょ?」
「でも──「直ー、どこにいるのー?」
「…っ」

俺の言葉が気に入らなかったのかマリモが食いついて来ようとした時、彼方先輩の声が聞こえてきた
突然のコトに鼓動が跳ねる

「こっちにいるぞー!」
「あ、いたいた! 遥伽、直いたよー」
「あ、本当だ! いたいたー」

ソレを抑えつつ声のした方をうかがい見れば、マリモを見つけた2人がはしゃぎながらコッチに走ってくるのが見えた

ぶっちゃけ言って気まずいからココから離れたいんだけど、なぜかマリモに服を掴まれてて逃げるコトが出来ないι

そうこうしてる内に2人は俺たちの元へ

彼方先輩に会った時、傷ついた顔されたらどうしようって思ってたんだけど──

「あ、みつクンも居たんだ。おはよう、みつクン♪」
「‥おはようございます。彼方先輩」

彼方先輩はなにもなかったみたいな顔してあいさつしてきた
そんな彼方先輩の様子に俺は一瞬固まりかけたけど、なんとか踏みとどまって彼方先輩へ普通に挨拶を返す

彼方先輩が普通にしてるんだから俺が気にするとか出来ないよね、うん

「ボ、ボクもボクも! おはよう、みつクン♪」

でもなんだか寂しいなーなんて思ってたら、今度は遥伽先輩が声をかけてきた
主張するようにピョンピョン跳ねて挨拶するのが可愛くて、クスリと笑いがこぼれる

「おはようございます、遥伽先輩」
「えへへっ」

その可愛さに思わず頭を撫でると、はにかむように遥伽先輩は笑ってくれた

その可愛さに心の中で悶えてたら、彼方先輩が拗ねたように俺たちの間へズイっと割り込んできた

「遥伽だけ撫でるなんてずるいよね?」
「え?」
「ボクも、なでなでして?」

彼方先輩はそう言って、コテンと首を傾げる
身長差のせいで上目遣いもプラスされたソレは凶悪なほど可愛くて、俺は感情の赴くまま彼方先輩の頭を撫でた

「ふふっ、くすぐったいよみつクン」
「すみません。つい感情が高ぶりま──「お前らだけ仲良くすんのズルいぞ!」
「お前ね…ι」

彼方先輩の可愛さにときめいてたら、急にマリモが拗ねたように腕を掴んできた

普通ならさっきの彼方先輩みたいにときめくんだけど、マリモがそうしてもなんとも感じない
俺はため息を吐いてマリモを腕から剥がそうとするけど、離すコトが出来なかった

すげぇ怪力だな、おいι

「俺とも話せよ!」
「話せって言われても」
「じゃあ、質問するから答えろよな!」
「あ、いいね!」
「「それ面白そう♪」」
「いや、ちょっと待ってくださいよι」

マリモの話に先輩たちまで乗っちゃって、イヤでもマリモの話に付き合わなきゃいけない空気になってきて焦る

マリモは俺の言うコトなんて聞かないし、このテンションの先輩たちを止めるコトはムリだろうし、八方ふさがりな事態に困り果てる

そんな時、凛とした甘いテノールが耳をくすぐった

「全員、こっちに集まってくれ」

聞き馴染みのあるその声に振り向けば、予想通りソコには会長の姿が…

「あっ、会長が呼んでますよ。ほら、早く行きましょう!」
「え〜っ!」
「「なら仕方ないかぁ〜」」

会長の言葉にこれ幸いとばかりに先輩たちを促すと、少しグズられたものの諦めさせるコトが出来た

参加者が全員集まったのを確認して、今回の合宿の説明がされてく

花見にバーベキューに花火…
内容は軽く聞いてたけど、改めて説明を聞いてテンションが上がった

説明はすぐに終わって、みんな別荘のスタッフに案内されて今回泊まる部屋へ向かうコトに

ちなみに荷物は別荘のスタッフが運んでくれてる
さすがお金持ち…スゴいね!

「部屋はこちらです」

案内された部屋に入ると、一番最初に飛び込んできたのは大きな窓から見えるバルコニーとキレイな景色
部屋が3階だからか眺めがいいね!

「うわぁ〜、スッゴいいい部屋だなぁ〜♪」
「ふふっ‥楽しそうだね、みつ君」

豪華な部屋にはしゃいでたら、微笑ましそうな顔をした巴先輩から声をかけられた

部屋割で生徒会の補佐はまとめられてたから、今回の合宿では巴先輩と同室なんだよね

もちろん、書記補佐のわんこくんも一緒っす!

小さい子みたいにはしゃいでるトコ見られたのはちょっと恥ずかしいけど、一緒の部屋になれたのはすごい嬉しいな

「あはは、思ってたよりスゴい部屋だからテンション上がっちゃいましたι」
「ふふっ、そっか。さすが会長の家の別荘だけはあるね」
「ですね…ん、どうしたのわんこくん?」

巴先輩と話してたら、今まで大人しくしてたわんこくんに袖を引かれて振り返る

「バル、コニー‥行こ…」
「っ!」

そしたらわんこクンがジッと見つめながら可愛くお願いしてきて、無防備だった俺の心を打ち抜いた
もちろん断るなんて選択肢はなくて、俺はふたつ返事で了承する






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