江路学園へようこそ!

□恋と友情とレモン味!
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おもいっきり合同合宿を楽しんだ翌日
そこまで多くない荷物を持って、俺は数週間ぶりに家へ帰った

数週間見ないだけで少し懐かしく感じる我が家の玄関を眺めながら、これから起こるだろう出来事に小さくため息をはく

「父さん撒くの大変だろうなぁ…」

ちょっと離れてただけなのに、帰るって連絡したとたん『いつ帰るんだ?』とか『どれだけいるんだ?』とかめっちゃ聞いて来るんだもん
絶対面倒くさい絡まれ方するよねぇ〜

…よし、いきおいで流そう
そうと決めれば突撃だぁー!

「たっだいまぁ〜」

そう声をかけたらパタパタとコッチにかけてくる音と、かけるまではいかないけど早めの足音が聞こえてくる

「みつ、おかえり〜」
「ただいま、雅みやびちゃん」

のびやかな声で返事を返してくれたのは、家に居候してる雅ちゃん
家の前で行き倒れてるのを拾ったから血縁関係はないけど、俺は家族の一員だって勝手に思ってるんだよね

「おかえり、みつ」

そう言って現れたのは俺のパ──父さんだ
着物を着こなして威厳たっぷりな感じで出てきてるけど、ココまで早足で来たのバレてるから!

なんでわざわざ威厳ある父親なんて演出しようとするかな?
そんなのすぐ剝がれるクセに

「ただいま、父さん」
「せっかく帰ってきたんだ。今日はゆっくり出来るんだろう?」

うわー、面倒くさいのさっそく来たよぉ

「あー…」
「出来るに決まっているよな? 親子水入らずゆっくりと──」
「ごめん、荷物置いたら遊びに行くから。じゃ!」

そう早口で言い放って、捕まらないように2人のあいだを早足ですり抜ける

「ちょっ…み、みつ〜! うぅ…パパは悲しいぞ〜」
「まぁまぁ操そうさん、俺がいるから。ほら、操さんがくれたオモチャ、イイ感じに馴染んでるよ…?」
「っ、雅…」

しつこく追ってくるかと思って後ろをチラ見すれば、雅ちゃんの活躍でなんとかごまかせたみたい
さっきまでのやり取りはなんだったのか…俺のコトなんてもう眼中にないみたいで、2人はもつれ合うように近くの部屋になだれ込んでった

まぁ、けどコレなら変な心配しなくても大丈夫だね
荷物を置いてさっさと出かけよっと♪

で、ルンルン気分で玄関まで戻ってきたんだけど──

「ほら雅、見せてみなさい」
「ぁ…っ、俺の、ココ‥操さんにいっぱいにしてほしくて、ドロドロになってんの…‥」

まったく、お熱いコトで…

「帰ってきたらごちそう作るから、ほどほどにしといてねぇ〜」
「あっ、みつ! 待ちなさ──「操さん、早くぅ〜」
「いってきまーす♪」

****

「遅刻、ちこくぅ〜!」

俺は慌てて改札を通って、待ち合わせ場所まで走ってく
順調に家を出れたから大丈夫だと思ったけど、ちょっと遅れちゃったんだよねι

「みんなお待たせー! 遅れてごめんねぇ〜ι」
「あ、みつくんおはよう。そんなに待ってないから大丈夫だよ」
「まったく‥気をつけろよ、みつ」

すぐ俺に反応して返事を返してくれたのはひなたちゃんと響介
因みに丞は、呼んだんだけどマリモで遊ぶ…じゃなくて、マリモと遊ぶからムリだって〜

丞、面白いこと大好きだもんねぇ
トラブルメーカーのマリモはいいネタみたい

あとココにいるのは我らが不良くん!

「なんで俺まで…」

なんか異様な雰囲気をかもし出してるけど、どうしたんだろ?

「すごい顔してるけど、なんかあったの?」

心配になって聞いたんだけどその瞬間、不良くんの顔が般若みたいになって俺に食いついてきた

「お前が! 来ないと恥ずかしい写真をバラ撒くって! 言ってきたからだろっ!」
「あぁ! そういえばそんなコト言ったねぇ〜」

すっかり忘れてたなぁ
でもさ、不良くん…

「そんなコトするワケないじゃ〜ん!」

不良くんの恥ずかしい写真バラまくとか、そんなもったいないコトしないよぉ〜

「撮ってないとは言わないんだな…」
「み、水瀬、大丈夫か…? おいみつ、変なこと言ってないでさっさと動くぞ。今日は行きたいとこがあるんだろ?」
「あ、そうそう! 今日はみんなでココに行こうと思って♪」

そう言って取り出したのはテーマパークのチケット

「なんだ?」
「あ、ここって最近リニューアルしてたよね? 僕、行ってみたかったんだ」
「へぇ…たまにはいい事するじゃないか、み──っ!」
「ん? なんか言ったかな、響介?」

そう言って、俺はにっこり笑いながら響介の足先をグリグリと踏んだ

たまにはは余計だよ。たまにはは…

「み、宮部…」
「み、みつくん、響介くんも悪気はなかったと思うからその辺に…ι」
「んー、ひなたちゃんがそう言うならこの辺にしておくよ。ひなたちゃんに感謝しなよ、響介♪」
「いっ、てっ!」

最後に思いっきり踏んだあと、響介の足先から自分の足を引く
響介が痛そうにしゃがんだけどもちろんそれは見ないフリ

コレに懲りたら、言葉には気をつけるんだね!

「よし! じゃあ、行こっか♪」

そうして電車に揺られるコト数十分
目的のテーマパークに着いた俺は、子供のようにワクワクする心を抑えてメルヘンチックな大きなゲートをくぐって中に入った

「おぉっ、すっごーい!」

中に入った俺たちの目に飛びこんできたのは、テーマパークの人気キャラのオブジェだ
すごい大きいし、なんか色づかいがハデで目がちょっとシパシパするι

そんなシパシパする目をオブジェの後ろに向ければ、土産屋とかレストランとかの建物がずらりと並んでるのが見えた

建物の隙間からはジェットコースターとか色んなアトラクションが動いてんのが見えて、乗るのが楽しみになってくる

「本当だ、すごいね。前に来た時より豪華になってる」
「へぇ〜、そうなんだぁ」

目に映る色々なものにワクワクしてると、キョロキョロとまわりを見ながら俺の言葉に答えるようにひなたちゃんが話しかけてきた

俺ははじめて来たからわかんないけど、そんなに豪華になってんのか〜
でも目がシパシパするほどなのはどうなんだろうι

「ねぇねぇ、みつくん! 記念にみんなで写真撮らない?」

思わず胡乱気な視線をオブジェに送ってると、テーマパーク効果なのかいつもよりもテンションの高いひなたちゃんにそう提案されて、俺はすぐソレにノって他の2人を呼び寄せる

「あっ、いいねソレ! 不良くん、響介、みんなで写真撮ろ〜」
「はいはい、写真ね…」
「俺は写真なんて──「は〜い、一緒に撮ろうねぇ〜、不良くん♪」
「は、離せぇ〜っ!」

照れてるのかイヤがる不良くんをムリやり引きずって、近くにいた人にお願いして写真を撮ってもらった

撮れた写真は上手く出来てて、大満足♪
少し…というかだいぶ硬いけど、不良くんもちゃんと笑顔で映ってます!

そんな写真を撮ってくれた人にお礼を言って、俺たちはいよいよ大本命のアトラクションへと足を進めた。

ジェットコースターにバイキングに、ティーカップや観覧車
色んな乗り物にワクワクしながらなんに乗るかあーでもないこーでもないと話しながら見て回って、とりあえず小手調べにティーカップに乗るコトになった

「これは…全員で乗るには狭いな」
「そう、だね。二人づつで別れよっか」
「なら俺は宮部かひなたと──「俺、不良くんと一緒〜!」
「なっ、揚羽お前…っ!」
「はーい、行くよぉ〜。思いっきり回すの手伝ってねぇ、不良くん♪」

誰と乗るかで話すのも面倒くさいし、不良くんの腕をつかんで引っぱってく
他の2人と乗ってもよかったけど…おもいっきりティーカップを回したいってのもあったし、せっかくのテーマパークだもん、どうせならもどかしい2人の距離を縮めて欲しいよね♪

「…じゃあ、俺達も行くか」
「う、うん」

響介たちがそう言ってついて来るのをチラ見しながら、入口のゲートを通ってティーカップへと乗り込む

「それじゃあ、おもいっきり楽しもうね! 不良くん♪」

そうしてティーカップに乗り込んで数分後
俺の目の前には、遠心力にやられてグロッキーな不良くんが座り込んでる

「う゛ぅー…」
「た、龍虎くん、大丈夫?」
「みつ! ものには限度ってものがあるだろ!? 水瀬がこんなになるまでやるなんて──「わざとじゃないって! こんなになるとは思わなかったんだよ〜ι」

たしかにめっちゃティーカップ回したよ?
でも不良くん止めなかったし、大丈夫だと思ったんだよぉ!

「水瀬もこんなんだし…しばらく休んで、次行くのは大人しいのにしておこう。いいな、みつ?」
「はぁ〜い」
「悪い、みんな…」
「気にしないで休んで、龍虎くん」
「あぁ‥ありがと…」

それからしばらく休んで、不良くんが元気になったのを確認した俺たちは、宣言どおり大人しいアトラクションに来たんだけど──

「お化け屋敷ですか」
「‥お化け屋敷だね」

視線の先には、おどろおどろしい見た目をした日本家屋っぽい建物が
選んだのは不良くんだから不良くんは怖いの大丈夫だと思うけど…ひなたちゃんは大丈夫かな?

「ひなたちゃん、怖いの大丈夫?」
「ぼ、僕はちょっと…みつくんは?」
「大丈夫。お化け屋敷は怖くないよぉ〜♪」

お化け屋敷って、脅かしてくるのは仕掛けやスタッフさんだからね
でもいわくつきの場所とかホンモノが出そうなトコはムリな──

「みつくんは大丈夫なんだね。すごいなぁ、僕は苦手だからι 特にここって本物が出るって噂だし…」
「そ、そうなんだ…」

んだけど、ソレってホントっすか?

響介はこういうの全然平気で、ゲームだろうが映画だろうがいわくつきの場所だろうがスイスーイっと行けちゃうんだけど…
今回はひなたちゃんがいるし、響介に頼るワケにはいかなそうだよねぇι

…不良くんにしがみついても、許してくれるかな?






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