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□遠かった近い未来(上)
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俺は、一生忘れられない恋をした。
期間を限定されたのに、一生忘れられない恋を。
相手は、顔はいいけど下半身ユルユルの浮気性最低男。
女も男もお構いなしでとっかえひっかえ。
なんど浮気相手と修羅場ったか数え切れなかったほどだ。
でも、それ以外は優しかったんだ。
俺を見つめる瞳や名前を呼ぶ声。
それに、俺に触れる手だって──
とても優しくて、最低だとなじりながらも俺はあいつから離れられなかった。
そいつとの別れは卒業式のあと。
ひともはけた夕暮れの教室。
期間限定の恋の、終わりを告げられた。
わかってたことだから、それでもいいと言ったのは俺だから。
泣かないように、すがらないように、困らせないように…自分を殺すのに必死だった。
あのときの、別れぎわに笑ったお前の顔がずっと忘れられないんだ。
その笑顔は、いまも俺の心を縛ってる。
おまえだけが、好きだったよ……