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□下僕くださいっ!
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「下僕が欲しい」

唐突に言った言葉は僕、静間 ていとがずっと思っていたものだ。

だって、お父様も──

「藍智様、今日の新聞です‥」
「あぁ、ありがとう」

お母様も──

「麗香」
「どうぞ、華世様。紅茶ですわ」

兄さんも──

「斎木」
「はい、たつま様。ネクタイですね」

はたまた弟まで──

「つとむ、さま。ど、どうぞ…」
「うん。あ〜ん」

みぃんな下僕持ち。
しかもかっこよかったり、可愛いかったり、綺麗だったりしてる。

「僕も早く下僕が欲しいっ!」
「ていと兄様、焦ってもいいことは無くてよ?」

そう諭すように言ったのは、俺のとなりに座る可愛い妹、せりかだ。
優雅に食後の紅茶を飲むその姿は、小学3年生だとは思えないほど気品と威厳があふれてる。

そんな妹の言うことだ。
僕は素直にそれはたしかに一理あるな…と思うけど、でも──

「どうしようもなく欲しいんだよ!」

毎日、まいにち家族が目の前で下僕とイチャついてるとこ見せられるし、友だちに綺麗で淫乱な下僕が出来たんだよ?!

羨ましい、とか…
負けらんない、とか…

いろいろ複雑な気持ちがあるんだよ!

「どっかに落ちてないかなぁ…」

そしたら拾って、僕の下僕にするのに。

僕の下僕はいいと思うよ?
つとむと違ってワガママでもないし、たつま兄さんとも違ってイジワルでもない。
最高に気持ちいことしてあげるし、待遇も高給与で、三食昼寝つきにだってしてあげてもいい。

「あー‥下僕が欲しいよぉ…」
「だったら捕まえて調教すればいいじゃない」

何てことをのたまうんですか、ママン。
貴女はマリーアントワネットですか。

「見つかんないの! 下僕にしたい人が! いたらとっくにしてるよ…」

そんなに理想高くないと思うんだけどなぁ。

身長は170p前後、綺麗系でクールな性格に細い腰のネコ。
それにメガネだとなお良し! って感じ。

‥高くないよね?

「では、下僕を調教しに行きましょうか…ていと兄様」
「え?」

下僕を調教しにって…もしかして、なにかアテとかあったりするの?!

「実は、ていと兄様のどまんなかモロタイプの方が、私の学校に教育実習生として来ているんです」
「ほっ、ホントに?!」

そんな奇跡が!?
持つべきものは妹だよっ!

「紹介して、今すぐ!」
「わかりました。紹介はしますが…あとはていと兄様しだいですわよ?」
「はい、わかってます!」

気合い入れて頑張るよっ!

「本当はしっかり調べてからがいいのですけど…」
「ん? 何か言った?」

よく聞こえなくて聞き返す。
何だろ?

「何でもありませんわ」
「そう?」

ならいっか。

「えぇ、では行きましょうか…。いってきます」
「うん♪ いってきまぁす」

僕はこのとき、この選択をしたことを後悔するとは、全く思ってもいなかった…
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