ワンダーランド

□毎日が戦い、ではなくて
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いつも遅い時間に目が覚める俺。
けど今日に限って早く起きてしまった。んで暇だから食堂に行って朝飯を食おうと思った。驚いたのは、食堂に甲児、剣児、鏡、明、號が居た事だ。
「あ、おはようございます、海動さん」
いつも礼儀正しい鏡。
「おはよー。お前等、何でこんなに早いんだ?それにそんな制服なんか着て………」
あ?制服?もしかして学校に行ってんのか?
「学校か?」
「はい。俺達はまだ学生なので」
熱心だな。けどよ、高校は義務教育じゃねぇだろ?なのに行くのか。
「號も行ってんのか?」
「まあな。翔や神さんに行って来いって言われちまったからな。まあお試しで一週間だけにしてるぜ」
それで学校側がOKしてんのかね。どんだけゆるい学校だよ。
「………学校、か」
俺はそんなもん、通ってる時間と金が無かったからな。それに、俺には真上が居る。分からない事は全て真上が教えてくれたしな。
「なあ、ここの研究所内で通ってんのはお前達だけ、だよな」
「おう!」
剣児が何でか嬉しそうにそう言って来た。
「仲良く登校してんのか」
「まあ、な」
號が少し狼狽えた。まあやっぱ一人の方が良いんだろうな。
そんなかんだで、奴らは学校に行ってしまった。学校か………。って、別にどうでも良いか。勉強は嫌いだ。
「あれ、海動」
「!竜馬………」
向こうから来たのは、ネオゲ竜馬だ。相変わらずなげぇ髪だな。
「起きてたのか?」
「目が覚めちまったんだよ」
「へぇー……」
珍しいな、と言って来た。それは自分でも思っている。何でこんな朝早くに目が覚めちまうんだろう。
「………なぁ竜馬。お前は学校って行ってたか?」
「学校?いやー……、ゲッターのパイロットに選ばれてから行ってねぇから……。中学までしか行ってねぇな」
「ふーん」
「それが?」
「いや、別に」
「?そうか」
竜馬はこれから朝飯を食う見てぇで。食堂の方に行っちまった。
この分じゃ、残りの竜馬もおんなじ感じだろうな。そう思うとアイツ等は真面目だな。
「!剣」
「まがっ……。遼」
何でか、昨日から互いの事を名前で呼び合っている。正直すげぇ言い辛い。
「随分早いな」
「まあな。お前の顔が見たくて」
「朝から可愛い事を言ってくれるな」
俺の頭を撫でて来る真上。
「………なぁ遼。……学校って楽しいのかね」
「学校?………あぁ、鏡達の事か。さあ、どうだろうな」
「號に聞くと、喧嘩しに行ってるっとか聞くからよ。楽しそうだから俺も行きたくなるぜ」
「年を考えろ」
分かってるさ。
「それにお前に勉強は似合わない。戦っている方が似合っている」
………それは、喜んでも良いのか?うーん………。
「………平和だな」
「おう?」
「学校に行けて勉強出来て……。あいつらは恵まれてると思うぜ」
「………だな」
何だか俺達らしくない会話だな。
「……可愛いな剣は」
「遼だってカッケーじゃねぇか」
互いを褒める。って言うよりも本音を言う。これが日課だな。
「………遼」
俺は真上に抱き着いた。
「……部屋に来るか?」
「ん………」
「分かった」
俺はそのまま真上の部屋に向かった。





部屋に入るなり抱き締められて。
本当に思う。平和だと。
「………こう、戦いが無いと平和ボケしてしまうな」
俺を強く抱き締めながら真上は俺にそう言った。
「だな………。遼ぅ」
俺は真上を見つめ、甘い声を出していた。
「キスしてほしいのか?」
「んな事、聞かなくても分かれ」
「すまない」
ははっと笑う真上。俺は半分期待して、目を瞑った。だが真上は何もしてこなかった。
「………ケチ」
「本当に可愛いなお前は。キバが狙うのも頷けるな」
いやいや、それは困るぞ!
「………手放したくない。お前を。もう二度と」
「遼………」
俺を強く、離さないように抱き締めて来る真上。それが、心の何処かに刺さっていたのに、俺は気付いていた。
「……俺って、自分で思っている以上にお前に愛されてんのな」
「ふ……。今更気付いたか」
本当にかっけぇよ、真上。
だから、好きだ。

俺から真上にキスをした。触れるだけ、だけど。
「………良いのか?」
「ああ。夜にするからよ」
「お前らしい」
くすっと笑う真上。やっぱ、かっけーな。ずっと見てても飽きない。
「………どうした?」
「別にー?それよりも、そろそろカイザーの頼んでいた武器が出来てんじゃねぇの?」
「………もう8時か。そうだな」
俺は真上から離れて。
俺達は格納庫の方へと向かった。




こんな平和、俺には不似合いだよな。
けど、俺だって真上と居る時は平和を求めんだぜ?………所詮は“人”って事さ。














END

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