新ゲ

□迷宮の心
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竜馬が、暴れている。いや、それはいつもの事か。
ゲッターに乗り、鬼と戦っている時だ。かなり無茶をした。損傷が激しかった。


「てめぇ!ゲッターを壊すつもりか!」
「っるせえよ!」
ゲッターから降りた竜馬を、弁慶が捕まえ胸倉を掴んでいた。やれやれ。
「ゲッターが壊れたら、どうやってデケェ鬼と戦うつもりだ!」
「知るか!」
「んだと?!」
「………止めとけ」
「隼人………」
これ以上、見てられんな。
「喧嘩しても無駄だ。………竜馬、来い」
「何でてめぇに付いて行かなきゃいけねえんだ」
「………来い」
やっとついて来た竜馬。弁慶はそんな俺を見て、不思議そうに見つめていた。



「最近のお前、変だぞ」
「………っるせ」
取り敢えず、ベッドに座らせ。俺は竜馬の前に立っていた。
「何かあったのか?」
「別に………」
まあ、答える訳も無いか。なら此処は。
「………俺の竜馬がこんなだと、心配で眠れもしねえ」
「………」
ヤバい。返事が無い。これは、重症だな。どうするか………。
「……隼人は、悪夢とか見たら、楽しい思いでその日を過ごせるか?」
「………何か見たのか?」
「………ああ」
俺は竜馬の隣に座った。
「……………お前が、消える夢を」
「……」
「居なくなって。俺だけ取り残されて。………ゲッターも無くて。研究所も無くて。俺しか居ない世界」
「………それは、昨日の夢とかだろ」
「いや、毎日見るんだ。同じ夢を。………孤独な夢。そしていつも起きると、涙が出てる」
まさか、鬼と戦っていて、怖くなったのか?いや、それはあり得ない。コイツは、鬼と戦っている時はとても楽しそうだ。
「………なあ、今日一緒に寝ても良いか?」
「……………好きにしろ」
甘える竜馬。滅多に無い事だ。だから、嬉しい。けど、こんな時の竜馬の心は、揺れている。彷徨っているのだ、心の中で。
「………夢って、こええよな」
「……そうだな」
俺に寄り添う竜馬。こう思うと、コイツだって可愛いんだがな。いつも素直になれず、強がっている。そんな竜馬が、俺は好きだ。初めはただの野蛮で馬鹿な男。としか見ていなかった。けど一緒に生活をして。コイツの可愛いギャップに、俺はやられた。以外にも飯の時好き嫌いがあったり。夜中は時々起きて、トレーニングをしたり。甘い物が好きだったり。
いつの間にか俺は、竜馬に惹かれていた。魅力に気付いたんだ。
そこで、腹の鳴る音が聞こえた。
「………腹減った」
つい俺は笑ってしまった。
「笑うなよ」
「すまん。………なら、食べに行くか」
「おう」
ベッドから降り、俺達は食堂に向かった。



食堂では、弁慶がもう食べていた。
「やっと来たか」
「………」
黙ったままの竜馬。まあ、無理も無いか。
「………さっきはカッとなって悪かったな」
弁慶から謝るとは。珍しいな。
「……けっ」
まあ、竜馬にしたら、これで上出来か。竜馬は飯を取りに行った。
「………なあ隼人。何をしたら、あんなに竜馬を素直に出来る?」
「……………話を聞いてやる事」
「?」
俺も飯を取りに行く。今日はカレーのようだ。サラダも受け取って。
俺達は弁慶の所で食べる事にした。
「………あ、隼人」
「はいはい」
「?」
俺達の光景に、疑問を抱いている弁慶。竜馬は、トマトが嫌いみたい。子供だろ?
「何だお前、トマトが嫌いなのか?」
「っるせーな。何が嫌いだろうか、勝手だろ」
「………餓鬼だな」
「うるせえよ………」
流石にそれには反論出来ないようで。俺はこの前、竜馬にトマトを食わせたのだが、駄目だった。何か、あのぶにぶにした食感が嫌いだと。後匂いも嫌いらしい。
「なあ竜馬」
「ん?」
「お前、隼人の事好きなのか?」
「ぶっ!!!」
カレーが詰まったようで。俺は竜馬に水を渡した。それを一気に飲み干す。
「げほっげほっ!……んなわけあるか!」
「だって、ここの所常に一緒に居るだろ」
「!それ、は………」
何故素直に好きって言わないんだ。コイツの見栄っ張りか?
「何でも良いだろ!」
カレーを流し込む竜馬。子供だなコイツ。そんな反応すれば、誰だって俺の事が好きって言っている様なもんだ。
「ほほーう、そうか。良かったな隼人」
「ああ」
「!?………けっ」
俺の応答にも、反応するって。おい竜馬。此処の皆、気付いたぞ。まあ俺は良いんだけどな。
「あ、なあ隼人。飯食い終わったら、特訓しようぜ」
「ああ」
ここで弁慶を誘わない。竜馬らしいな。
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