新ゲ

□竜馬の観察日記
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特にやる事も無くて。
暇だ。けど、研究所からは離れられねえし。

だから俺は、隼人を観察する事にした。
弁慶を観察して、何になる?だったら、気になっている隼人の方が良いだろ?



俺が食堂に行くと、もう隼人は居た。で、飯を食ってる。
「遅いぞ、竜馬。もう8時だ」
まだ8時だろ?コイツ、一体何時に起きてるんだか……。
俺は隼人の隣に座って。一緒に朝飯を食う。
「今日、どうする?」
「え?」
何か、約束してたか?
「特訓だ。するのか?」
「あー、……今日はいいや」
「そうか」
だって今日は、一日お前を観察するからな!


朝飯後、隼人は足早に何処かへ向かった。俺はこそこそ隠れながら、後を追う。
着いた先は、あの鬼娘の居る部屋だ。ゲッターに付いて、何か聞くのか?
俺はドアに耳を当て、中の話を聞いた。

『………流君と一緒に暮らしたい、ね』
『ああ』
『……で、何処か良い場所は無いかって?こんな山奥じゃ、まず無理よ』
『そんな事は分かっている。だがゲッターから離れる訳にもいかない』
『………そうね。なら、ここの研究所じゃ無理なの?』
『……俺達の二人の時間を作るのには、限界がある』
『まあ、他の研究員も居るからね……。まあ、なら考えておいてあげるわ』
『すまない』
『良いのよ。私から武蔵坊君を放してくれたし。これぐらいはね』

………隼人。



午後1時。隼人は一人でゲッターの所に居た。俺は見つからないような場所で、その様子を伺っていた。
「お、隼人じゃねえか」
「!弁慶」
「何してんだ?」
「見ての通り、ゲッターの調整だ」
「けど、イーグル号だろ?それは、竜馬の仕事じゃねえのか?」
「俺の竜馬に、何かあってからじゃ遅いからな」
隼人。どんだけ俺の事が好きなんだよ。照れるじゃねえか。
「ったく。お前、変わったな」
「そうか?………そうだな」
「最初の時は、冷静な奴だな。とか思ってたけど、今じゃ、竜馬竜馬うるせえよな」
「………」
あら、黙り込んじゃって。
俺って、人に愛された事、あったかな……。覚えてる限りじゃねえや。はは、情けねえ。
けど、俺も隼人に会って、変わったんだぜ?素直に感情を出したり。隼人になら、何でも打ち明けてる。どんな事でも。
隼人が、俺の王子様ってか。




夕方。一人で特訓をしている。
俺は邪魔しないよう、その場を立ち去った。


午後7時。晩飯は、一緒に食った。
その時が楽しく思えた。


午後11時。
そろそろ寝るようだ。自室へ向かった。
俺はいつもの様に、隼人の部屋に向かった。
「隼人ー」
「………」
部屋に入って。何も言わない隼人。だって、パソコンやってるから。
邪魔しない様に、俺はそっとベッドに座った。
「……………どうした」
「んー。寂しい」
「………」
おいおい、そこは無視すんなよ!折角、お前が俺の事を好きだから、ちょっとはいつもと違う事を言ってやったんだから!
けど隼人はパソコンを止めて、俺の隣に座って来た。そして、俺の頭に触れた。
「………一緒に寝るか?」
「そのつもりで、部屋に来たんだけど?」
「すまない」
俺は隼人の肩に、頭を預けた。
「……………なあ竜馬」
「ん?」
「………いや、何でもない」
「んだよ」
あー、そう言えば、俺、コイツから愛の告白聞いてねえや(笑)俺から言えば良いのか?
今思い返すと、俺も、隼人の事が好きだし。傍に居ると、一番落ち着くし、頼りになるし。………言うか。
「隼人ー」
「何だ」
「好きだ」
「………」
「今更ってのもあっけど。誰よりも、大好きだぜ」
あえて隼人の顔は見ずに。
「……俺もだ、竜馬」
何か、改めて言われると恥ずかしい。お互いの気持ちが分かっていると言っても。
「こんな気持ち。多分隼人にしか抱かねえよ。………俺を、守ってくれんだろ?」
「当たり前だ。………お前、今日一日、俺の動きを伺っていただろ?」
気付いていたのか!
「気付かないとでも思ったのか?……お前の匂いがしたから、誰だって気付くさ」
「匂い?」
「可愛らしい、お前の匂いさ」
「うわ、変態みたいな台詞ー」
「何とでも言え」
隼人は突然、俺から離れたかと思ったら、俺を押し倒して来た。
「わっ!」
「………好きだ、竜馬」
「……一回で分かるっての……」
「はは、そうか……」
そして隼人は俺を抱き締めてくれた。俺も抱き締め返した。


こんな日が、毎日続けば良いのに。


そう願う俺が、何処かで居た気がした。






END

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