新ゲ

□俺のメサイア
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朝起きたら、竜馬が俺の隣に居なかった。俺は慌てて研究所内を探した。けど、居なかった。
弁慶によると、朝方一人で研究所から出て行く姿を見たとか。
ゲッターとか言っている場合じゃない!急いで竜馬を探しに行かなければ!

俺は車で急いで、竜馬の行く場所新宿へ向かった。
そして、聞いた情報の場所へ向かう途中の事だった。



「お兄さーん。こんなに朝早くからどうしたの?」
「人探し?」
「……っるせえよ」

竜馬が居た。けれど、男共に囲まれている。朝から物騒な所だな。

「ってかお前流竜馬だろ!」
「……だったら何だよ」
「借金、返したらどうだ?辰与会の連中が怒ってたぜ?」
「………てめえら、奴らの仲間か」
「いや、仲間じゃねえけど。知り合い」
「ならさ、身体で返したらどうだ?」
そこで4人のうちの一人が竜馬の服を掴んだので、俺は走ってその男を殴った。
「!?隼人」
「俺の竜馬に触るとは……。死にたいようだな」
こいつら、ぶっ殺しても良いよな、竜馬。
「こっこいつ!まさか、神隼人……!」
「ほーう。俺の名前を知ってるのか」
「まさか、あのテロリストの………!」
「にっ逃げろ!」
ふん。口ほどにも無い奴らだ。
「………隼人。どうして此処に」
「朝起きて、隣に恋人が居なかったら誰だって心配するさ。色々な奴に聞いて、ここまで来た」
「………馬鹿」
俺の方に近付いて来て、俺を抱き締める竜馬。俺も抱き締め返そうとしたが、此処は外だ。竜馬を連れて、車の方へ帰る。
車に乗せて。俺は研究所の方へ走り出した。
「どうした。研究所から居なくなるなんて………」
「……………気紛れさ」
本当にそうだろうか。仕方ない。研究所には、帰らないでおこう。


「隼人?」
「………」
研究所の方に向かっていないので、流石の竜馬も気付いたようだ。
「何処に行くんだ?」
「………もしもこのまま逃げる事が出来るのなら、俺は、お前と一緒に何処か他の所へ行って、一緒に暮らしたい」
「隼人………」
鬼が居なければ。鬼が消えれば。俺は竜馬と一緒に平和に暮らす事が出来たのに。
竜馬が俺の、救世主なのだから。



「海………」
何故だろう。海に来ていた。朝の海は、綺麗だ。まだ6時。冬なので日の入りが遅い。
「………久々に、こうしてみた気がするな」
「……だな」
海を見ると言っても、いつもゲッターに乗っていたり。鬼と戦っていたり。
こうした穏やかな時間は、過ごした事が最近あっただろうか。考えると、何処か切なくなってくる。
俺は車から離れ、竜馬の所へ行った。竜馬は、車から少ししか離れていない所に居た。
「……逃げたい」
「竜馬?」
「逃げたい。この現実から逃げたい。………けど、鬼が俺達に襲い掛かってくるのなら、倒すしかない」
「………ああ」
逃げられない、避けられない現実。それは、人間生きているのなら、誰だって対面する場面だ。自然災害、人間関係、テスト。
人間は、あらゆる場面において、選択肢を出されるが、そこに回避、と言う選択肢は存在しない。進む、か努力する。そのどちらしか存在しないだろう。少なくとも、俺はそう考えている。だから鬼が俺達に迫って来るのなら、逃げずに戦う。戦うしか選択肢が無いからだ。逃げたら、俺達は死ぬだけ。俺は竜馬が生きる世界で生きていないといけないんでね。死ぬ訳にはいかねえさ。それに、もしも諦めて死を選んだら、それは見っとも無くて、己から逃げただけだ。その選択肢は正しいとは思わない。この世に生まれたのだから、己の宿命(さだめ)を背負って生きて行くのが、人間だろう。
「………鬼が現れなくなったら、お前はどうする?」
「……お前と暮らすさ。静かな所で」
「んー、なら俺が奥さんってか。ははっ」
笑う竜馬。その笑顔が、とても輝いて見えた。
「それも悪くないな」
「けど子供は出来ないぜー?」
「………ゲッター線を使えば」
「え、ギャー!」
俺の目が本気だったのか。それを見た竜馬が悲鳴を上げていた。
「おおお俺はまだ実験材料になる気はねえからな!」
「………冗談だ」
「じょ、冗談!そ、そだよな!」
何処まで戸惑っている!

まあ、それが可愛いんだけどな。

「………えっと。隼人さん。一つ聞くけど、お前って温かい家庭とか憧れてる?」
「……竜馬が俺の嫁になるのなら、憧れてる」
「………ん?うーん、そうか」
何か違う事でも言ったか?まあ、いい。
「………竜馬。時に、お前は料理とかするのか?」
「え?あー、まあ。ほとんど一人暮らしだったからな。ある程度なら」
「なら、今から研究所に戻ろう。お前の手作りの飯が食いたい」
「お、了解!」
車に乗り込み、研究所を目指す。

「毎日、こんなに平和だったら、俺、贅沢とか言わねえや」
「………そうだな」
俺だって、これだけ毎日平和だったら、何も文句は言わねえさ。
『おい隼人!』
「弁慶?」
『鬼だ!急いで戻って来い!』
「………分かった」
「ちぇー。もう現実かよ」
鬼が来れば、俺達が倒す。それしか方法が無いのは分かっているのだが。何だか、虚しいな。
「宿命(さだめ)には、抗えないぜ。隼人さんよ!」
「ああ」
だから今日もゲッターで戦うまでだ!

竜馬を守るためにも、な。







END(あとがき)
シリアスでしたが、何だか後半はギャグ的な感じになってしまいましたね……。

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