新ゲ

□戦う理由
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鬼が攻めて来て。
俺は、いつもの様にゲッターに乗り込み、戦った。
戦っている時は、すっげー楽しいんだけどよ。戦い終わると、ふとどうして戦わなければならないのか、と思う時がある。


「隼人!弁慶!少しばかり無茶させてもらうぜ!」
「ふん、またか」
「おう、了解!」
ここの所、やたらと三人の意見が合う。ってか、何でだろう。合ってしまう。まあ、良い事らしいんだけど。
「おらおらぁぁああ!!ゲッタァァアトマホォォオクッ!!」
鬼を切って、最後にはお決まりになって来たな。
「ゲッタァァアビィィイム!!」
それで鬼は消滅した。ってか、何でこんなに技名を叫ばないといけないんだ?って隼人に聞いたら、『音声認識がある』ってさ。ゲッターって音声認識もあるのか〜。驚いたぜ。

鬼も無事倒し、俺達は研究所に戻った。
「いやー、ここの所、楽しくて仕方ねえわ」
「多分、それ、お前だけだろ」
俺はイーグル号から降りるなり、そう言っていた。何でだろう、嬉しいんだ。
「ほら、鬼って殺しても罪にはならねえだろ?多分それだな」
「………お前らしいと言えば、そうだな」
弁慶が呆れたようにさっきからそう言っている。ま、俺は別に人間でも慣れてるから良いんだけどよ。


「……………なあ二人共」
二人が室内へ戻ろうとした時。俺は二人を呼び止めた。
「……どうした」
「………何で俺達は、鬼と戦ってんだ?」
「竜馬?」
弁慶が不思議そうな顔をして、俺を見ていた。
「世界を守る為?ふざけんなよ、俺は別に世界何てどうでも良い。………そうじゃ無くて、俺が求めていんのは」
「………俺は、ただ単にゲッター線に付いて知りたいから、ゲッターに乗っている。此処を破壊されたら、終わりだから」
隼人は隼人なりに理由があるよな。
「………俺は鬼が憎い。俺の仲間をあんなに………。だから俺は、あんなことがもう二度と無いように、鬼と戦っている」
弁慶も、ちゃんとした理由がある。

俺は………?

此処に来たのだって、爺に連れて来られて。勝手にゲッターに乗れ、と命令されて。
何も失っていなければ、何も手に入れようとは思わない。

ただ単の暇つぶし。

そう思うと、自分の居場所が本当に此処で良いのか、と思ってしまう。
俺は此処に居ていいんだろうか。
けど、鬼が俺達が居る所に来るのなら、きっと俺達に何かがある筈。そう思っている。
それに、俺はまだ死ぬ訳には行かねえ。生きなければならねえんだ。

「………竜馬、付いて来い」
俺は隼人について行った。




隼人の部屋。
パイロットスーツのまま、隼人は俺にベッドに座れ、と言って来た。
「………不安なのか?」
「不安って言うよりも、俺には、鬼を殺す理由何てねえからさ」
「………確かにな。お前は、確か此処に強引に連れて来られた。そのような人間が、ゲッターに乗る理由………」
別に、俺じゃ無くても良いんじゃねえか?強靭な肉体、とか精神力、とか。ぜってぇに世界を探せば居る筈だ。

別に俺じゃ無くても。

自分で言っておきながら、その言葉が胸に刺さった。
「………いや、ゲッターがお前を選んだ。お前に乗って欲しくて」
「ゲッターが?」
「そう考えるのが妥当だろう。………実際、お前程ゲッターのパイロットに向いて居る奴なんて、居ないだろ」
「………」
「お前だけが、ゲッターを操れる。それに、戦える。これだけ理由があって、不満か?」
不満じゃねえけど。足りないんだ。
俺自身が求めている、戦う理由が。
「……………なあ、俺じゃない奴が、ゲッターを扱えてしまったら、俺は」
「竜馬」
俺がそこまで行った時だった。隼人が俺の頭を撫でて来た。
「……俺はな、お前に出会って色々回心した。テロ行為も、もう止めた。………もう二度と、俺の傍から離れるな」
馬鹿野郎。照れる事をさらりと言うんじゃねえよ。
「………平安時代に着いた時、俺はお前が居ないと知って慌てた。慌てて捜した。けど、居なかった。かと思っていたら、弁慶に出会った。そして、やっとお前に出会えた。あの時、俺は自分に誓ったんだ。もう二度とお前の手を離さないと」
隼人は俺の頭から手を離し、俺の隣に座っていた。
「………俺って、自分で思ってる以上に隼人に大切にされてんだな」
「今頃気付いたのか」
「っるせー」
へへっと笑う。
「……ふっ」
微笑んでくれた隼人。俺はそれが嬉しくなっちまって、もっと笑っていた。
「………なあ隼人。……抱き着いても良い?」
「いちいち聞くな」
だよな。俺は隼人に抱き着いた。
「……はぁ。やっぱ、一番落ち着く」
座りながら、だから、若干抱き締め辛い。けど、いいや。こうしている時が、俺は一番幸せだ。
「………大好きだ」
「当たり前だろ」
「うわ、うぜー」
「ふふっ………」
「………へへ」
微笑むと、隼人も返してくれる。
「………着替えるか」
「だな。あっとついでに腹減った」
「………ったく」
何だよ、呆れんなよ。
俺は一旦隼人から離れて、自分の部屋に戻る事にした。
「戻るのか?」
「ああ。着替えて来るわ。んで、食堂行く」
「分かった。俺も後から行く」

隼人の部屋を出て。
俺は扉に寄りかかって、自分の顔を手で覆った。

隼人の笑みが、嬉しすぎて泣けそうだ。

涙を堪えて、俺は自分の部屋に向かった。
晩飯は何かな〜?







END(あとがき)
どうも私が書く竜馬は、幼い気が……。まあ本編でも少しそうですしね。

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