ネオゲ

□大切なお前
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俺は、一体誰なんだ?とにかく、みんなが流竜馬って言ってるから、俺の名前が竜馬って事は分かる。けどそれ以外は全く分からねぇ。
俺は一体何者で、何故此処に居る。

「………くそっ!恐竜帝国め……!」
隼人って人が、俺を自分の部屋に入れて。何だか怒っている。俺は、どうしたら良いか分からねぇからココアを貰って飲んでいる。
「………竜馬、辛いかもしれんが、恐竜帝国に何をされた?」
「………………」
嫌な記憶が過ぎる。だから俺は、隼人から目を背けた。
「………すまない、辛かったよな」
俺の隣に座って来て、俺の頭を撫でてくれる。この感じ……、どっかで………。
「………俺を、薄暗い部屋に閉じ込めて……」
駄目だ、そこまで言ったら。俺はあの時の恐怖が、蘇って来た。忘れようとしていたのに。俺は持っていたマグカップを落としてしまった。
「!?竜馬」
俺は隼人にしがみ付いた。怖いんだ。思い出そうとすると、………。
「すまない………。思い出さなくていいから、」
「………ごめん、力になれなくて」
「気にするな」
けど、本当は駄目だろ。俺の記憶が、欲しいんだろ?俺の記憶があれば、あのゲッターロボとか言うロボットを動かせるかもしれねぇんだろ?まぁ、俺は乗れねぇけど。
「……………隼人」
俺は隼人に更に抱き着いた。何だか、すっげぇ怖い。
「大丈夫……。お前には、俺が居る」
誰よりも優しい隼人。俺があいつ等から助け出された時も、真っ先に来てくれたのは隼人で。俺とずっと一緒に居てくれて。
「……恐竜共は、俺を仲間にしようとしていた」
「!竜馬………」
俺は震える手を、身体を抑えながら隼人に話した。
「俺を奪えば、ゲッターロボは動かないって………」
「もう喋るな!」
隼人は俺をきつく抱き締めていた。
「………もう、良いから」
「うん………」
どうして俺は、こんなにも優しい男の事を、忘れてしまったのだろうか。この時俺は、その恐竜帝国って奴らの事を、とてもぶっ飛ばしたい気持ちが込み上げていた。
「………竜馬、歩けるか?」
「うん……」
「なら、来てくれ」
そう言って立ち上がる隼人。俺も立ち上がって、隼人と一緒にその部屋を出た。

隼人が向かったのは、格納庫だ。ゲッターロボがある。
「………乗って見てくれ」
「………」
すっげぇ怖い。何でだろう。ただ、乗るだけなのに。
俺は、意を決してそのゲッターロボに乗った。

操縦桿を握って。
身体の何処かが熱くなって来る。何か思い出せそうで、思い出せねぇ………!この感じ、ぜってぇ昔味わってる。だが、分からねぇ………!

俺はゲッターロボから降りた。
「はぁ……、はぁ………」
たかがロボットに乗っただけなのに、俺の心臓の鼓動は、すっげぇバクバク言っていた。それに、汗もすっげぇ。
「竜馬!大丈夫か?」
「あぁ………」
何で、乗っただけでこんなに疲れなきゃいけねぇんだ?
「………やはり、無理か」
「……すまねぇ」
「何故謝る?」
「俺が、俺の記憶が消えちまって……」
「お前は悪くない。悪いのは、恐竜帝国だ」
やっぱり、隼人は優しい。
「………すまない。ゲッターロボに乗れば、記憶が戻ると思ったんだが……」
本当に謝りたいのは、俺の方だ。俺がいけねぇんだ。きっと俺が弱いから。







俺はそれから、少しずつだけど、隼人に話していた。された事とか。とにかく色々。



俺が研究所の屋上で、星を見ている時だった。隼人が来た。
「………隼人」
「眠れないのか?」
「……まぁな」
俺はじっと、星を見つめていた。綺麗だなー。こう言った事は忘れねえんだよな。
「………なぁ隼人。どうしてお前だけ、俺にこんなにも優しくしてくれるんだ?」
「………お前の事が、誰よりも大切だからな」
「隼人………」
すっげぇカッコいいな、隼人って。
「お前は俺の恋人だ。だから尚更………」
俺は隼人に寄り添った。
「竜馬?」
「暫く、こうさせてくれ………」
本当に、自分が悔しい。どうして、こんな自分を想ってくれている人の事を、忘れてしまったのだろうか。たとえ記憶を消されたとしても、この人の事だけは、覚えて置きたかった。
「………絶対誰にも渡さない。お前は、俺の大切な人だから」
俺を抱き締めながら、そう言ってくれる隼人。本当に格好良くて。

俺はぎゅっと、隼人を強く抱き締めていた。


隼人、大好きだ。













END

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