ネオゲ

□その花びらと同じように
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早乙女研究所の復旧も終わって。
俺は竜馬の居る、町の方へと向かった。


何処も、もう平気だな。俺は復興が終わった街を見て、ほっとした。そこで見かけたのは、桜だ。そうか、もうそんな時期か………。早いな。公園の方では、桜の木の下で、花見をする家族連れが見えた。
竜馬を誘うか。二人で一緒に桜を見て、平和な時を過ごしたいしな。

竜馬の居る空手道場に到着した。前に車を止め、道場の中に入ろうと、戸を開けた時だ。俺は我が目を疑った。あの恐竜帝国の後、アイツは何処かに行ってしまった。消息不明だったのだが、その奴が、竜馬の道場で竜馬と手合わせをしている………。
「………あ、隼人!」
竜馬は俺を見るなり、嬉しそうな顔をして、俺に抱き着いて来た。
「おい、こら!」
「ひっさびさだなぁー!会いたかったぜ〜!」
本当に可愛いな、コイツは。俺は竜馬の頭を撫でていた。
「………おい竜馬。俺との特訓をさぼんなよ」
やはり、この声は。
「………久々だな、號」
「ああ」
號はあの時と比べ、少しばかり成長したようだな。顔付が違う。
「………竜馬、離れろ」
俺は竜馬を離して、この一年間何があったか、話を聞いていた。

俺と竜馬は互いに話し終えた。そして俺は竜馬に桜の事を話した。すると花見をしたいと言ってくれた。
「おい待てよ。俺も行くぜ」
「………俺の竜馬は渡さん」
「はっ、誰がそんな野蛮人を」
いや、コイツの事だ。竜馬と一緒に居て絶対に竜馬の魅力に気付いたはずだ。ならば、取られるものか!
結局俺の車には、號も乗って来た。


そしてコンビニで飲み物を買って。
早乙女研究所の近くの方まで来て。そこで他の人が絶対に居ない場所で花見をする事にした。
「すっげー………」
車から降りるなり、竜馬が桜の木を見て、驚いていた。
「こんな所で、こんな綺麗なものが見れるなんてな……」
「俺は、お前の方が綺麗だと思うぞ」
「隼人………」
俺達が見つめ合っていると、咳払いが聞こえた。
「イチャイチャすんなよ」
「何が悪い」
「………ちっ」
何なんだ、コイツは。何故俺達と一緒に来た。
「………まっまぁ、よ。折角の花見だ。楽しくやろうぜ?」
まあ竜馬がそう言うなら………。

俺は竜馬の肩に腕を回して、桜を見つめていた。
「………平和だな」
「ああ。………恐竜共が居ねぇからな」
俺に寄り添ってくれる竜馬。可愛いな、本当に。
「………武蔵も、きっと見ているさ」
竜馬………。
「ああ、そうだな」
近いうちに、また武蔵の墓参りに行かないとな。
「………竜馬。実はな。金をかなり貯めたんだ」
「へぇ〜。そいつはすげぇじゃねぇか。何か買うのか?」
「ああ。………お前との家をな」
「………は?」
「一緒に暮らそう、竜馬」
俺は竜馬の肩から腕を放し、竜馬の両手を掴んだ。その時、號があっと言ったのが聞こえたが、無視をした。
「は、やと………?」
「折角平和になったんだ。だったら一緒に暮らしたって構わないだろ?」
「え、あ、いや、そうだけど………」
何故躊躇う?あれか?道場の事か?だったら通えば良いだろ?
「………ごめん。無理だ」
「何故だ!」
「………………俺の身が持たねぇって言うか……。毎日格好良いお前を見てたら、多分俺弱くなっちまうからさ」
竜馬………!俺は心を打たれた!その、偽りの無い笑顔に!!
「竜馬ぁぁぁあああ!!」
俺は竜馬を強く抱き締めた。
「俺は問題ない!今直ぐ結婚しよう!」
「はぁっ!?」
「何で、そうなんだ!」
俺は後ろから號に殴られた。
「何をする!」
「竜馬が怯えてんだろ!」
「嬉しくて震えてるのか?可愛いな」
「いや、人の話を聞けーー!」
また號に殴られた。すると竜馬は俺から離れ、一発食らった。



その後俺は號と何故かタイマンになった。
竜馬のため息が聞こえたが気のせいだろう。そして勝ったのは俺だ。
「………號。何故お前は竜馬と一緒に居る」
「……さぁな」
「惚れたのか?」
「そう言ったら?」
俺達はまたタイマンをした。
「………いい加減にしろよ、お前等。俺、帰るぜ?」
「それは困る!」
俺は慌ててタイマンを止め、竜馬の方へ向かった。
「號、送るから乗れ」
「………へーい」
號、竜馬を乗せ、俺は取り敢えず竜馬の道場に向かう事にした。




竜馬の道場に着くと、やはり竜馬も降りてしまった。
「………考えては、くれないか?」
「……ばぁか。何言ってんだよ」
やはり、無理か。俺が深いため息を付いていると、竜馬が俺の首に腕を回して来た。強引にな。
「俺が気に入る家を用意してくれんだろ?だったら良いぜ?それに、俺は初めからお前のもんだ」
「竜馬………」
俺は人前だろうが、竜馬を思いっ切り抱き締めた。
「竜馬ぁぁぁあああ!!」
「だぁーっ!調子に乗ってんと止めんぞ!」
「………すまない」
竜馬から離れ、俺は急いでとある場所に電話をした。
「やれやれ。………仕方ねぇ。どっかで俺はバイトするか」
號がそう言っていたが、俺はそれどころでは無かった。







そして。
そんな日から一ヶ月後。

「おーい、隼人ー?」
竜馬の声が聞こえた。
「仕事に行く時間だろ?起きろー」
「………あぁ」
カーテンを開けられ、俺は布団から起き上がった。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
「朝飯は今作ってるからな〜」
竜馬はそう言って、俺の部屋から出て行った。俺は無事、竜馬と二人っきりで暮らせている。毎日が幸せだ。俺の望んで居た日常が、そこにはあった。

さて、今日も早乙女研究所でゲッター線についての会議があるのか。竜馬の為に、残業は出来んな。










END(あとがき)
春をテーマにして書いていたら、桜からどんどん違う方向へ……。けど書いていて、楽しかったです。
ネオゲの最終回後は平和ですね〜。

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