真ゲ

□隼人の弱点
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俺は今日、隼人の行動を見る事にした。だってあいつ、普段何してるか気になるじゃん?
渓や凱に聞いても、真面目な人、とか言わねえし。かと言って他の人には聞き辛れぇし。

今の時刻は、朝の8時。奴はもう部屋には居なかった。何時起きだぁ………?
何処に行ったのかと思ったら、何故か格納庫。ゲッターにでも乗るのか?
「………竜馬」
俺はつい、ドキっとしてしまった。気付かれたかと思ったからだ。けどそうでは無くて。ただ単に、俺の名前を呟いただけだった。
「………」
そのまま隼人は黙って、格納庫から出て行った。俺は隼人が居なくなったと確認すると、ゲッターの所に向かった。
「………………お前、何か知ってるか?隼人が此処に来る理由を」
って、ゲッターが答える訳がねぇか。俺は何を言ってんだか。早く、隼人の後を追い掛けねぇとな。



午前11時。隼人は指令室で命令を沢山していた。多分この分じゃ、ずっと此処に居るだろう。なら俺はその間に飯でも食うか。


午後1時過ぎ。ようやく食堂に現れ、飯を食っていた。そこで俺は、妙な会話を聞いていた。
「なあ、神司令ってさ、あれだよな」
「ああ」
あれ………?何だ?
「本当に流さんの事、好きだよな」
「だよなぁー」
………………は?
「もう、流さんが居た、生きてたって時、泣いてたもんな」
「なー。あの時は驚いたぜ」
隼人………。
「あの時よ、司令さ、『今なら死ねる』とか言ってたしな」
「だよなぁ〜。どんだけ嬉しかったんだろうな」
「まあ、そりゃ死んだかと思っていた人に逢えたら、誰だって嬉しいさ」
「そう、だな……。俺も逢えたら良いな」
「あ、ごめん」
「気にすんな」
そんな、研究員の話が聞こえて来た。


午後5時。
俺が廊下を通っている時だ。凱達の声が聞こえた。
「………つまり、神司令の弱点は!?」
「断然竜馬さんでしょ!」
「だよな!」
何をアイツ等は言ってんだ………。けど、確かにそうかもな。あの研究員達の話からしてもそうだしな。
「………随分面白そうな話をしているな」
「げっ、神司令」
あちゃー、見つかっちまったか。可哀想に。
「俺の弱点だと?決まっている、竜馬だ」
「………………」
二人共、無言。ま、そりゃそうだろう。俺だって、その返答には固まるぜ。
「………何だ」
「いや、何か………」
「何か?」
「………いえ、何でもありません」
そう言って二人はその場から逃げ出した。何をしたいんだ?
「………はぁー。全く……………。いい加減出て来い、竜馬」
ありゃ、気付かれてたのか。
「………お前って、俺が弱点なの?」
「それ以外、何がある」
「いや、例えば高い所が駄目とかさ……」
「特に無いな。俺は、本当にお前の存在が弱点なのだ」
………悪気は無いと思うんだけど、何か、な。
「お前を失ったら、俺は生きて行けん。………あの日、俺の前から姿を消したお前。俺はお前が生きていると信じて、13年間信じ続け、生きて来たんだ」
隼人………。ったく、叶わねぇな、お前には。
「ならよ、弱点を早乙女の爺達に知られねぇようにしねぇとな」
「分かる事は無いさ。俺は早乙女博士にはミチルさんが好きだと言ってある」
「え、浮気か?!」
「馬鹿か。作戦だ。………お前の事を言ったら、絶対にお前を本気で殺しにかかる。それは………」
ぎゅっと拳を握る隼人。
「………俺も死なねぇようにしねぇとな」
「誰が殺させるか」
「……そう、だな」
俺は隼人に抱き着いた。
「!?おい、誰かに見られたら………」
「別に良いじゃねぇのよ。見せつけてやろうぜ」
「………ったく」


まさか、隼人の弱点が俺だったとはな。
かなり嬉しい。その反面、面白い。俺が弱点なら、ちょっと変な事でもしてやろうかな〜?





次の日、俺は此処の塔にあった獣耳を付けて、隼人の部屋に乱入してみた。すると隼人は鼻血を出して、俺に抱き着いて来た。身の危険を感じた俺は、隼人に一発蹴りを入れて、逃げていた。
慌てて自分の部屋っつーか、空き部屋に逃げた。
「りょーまーぁぁぁああ!!入れろーー!」
「ふざけんな!サカってんじゃねぇ!」
「お前がそんな恰好をして現れたからだろ?!」
あー、もう!何でこんな事になっちまったんだぁ?!
俺は部屋のドアを開けられない様にするので、精一杯だ。
早乙女の爺達!今頼むから攻撃を仕掛けてくれー!サイレンが鳴れば、奴は居なくなる!



その後結局サイレンは鳴らず……。俺は隼人に襲われた。




隼人の弱点何か、知るんじゃ無かったぜ!









END

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