真ゲ

□離せない手
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俺が指令室に帰って来ると、竜馬が無防備にソファーで寝ている。全く……、せめて一言言ってからが良いのだがな。

「ん……、隼人ぉ………」
!多分寝言なのだろうが、何故俺の名を………。だが、とっても嬉しいな。
俺はそんな竜馬の頭を撫でていた。まだまだ、子供だな。こんな寝顔を見せるなんて………。すごく幸せそうだ。
辛かっただろうな。ずっと一人で。
すまない、あの時………。
今度こそ、俺は奴らの野望を止める。お前を守るために。
「………竜馬」
俺は竜馬の名前を呼びながら、寝ている竜馬にキスをした。
「………ん」
一瞬ピクリと動く竜馬。だが起きない。よほど眠りが深いのか。俺は試に舌を入れて見た。
「……馬鹿野郎!」
突然口を離したかと思ったら、打たれた。当たり前か。
「………起きていたのか」
「初めのキスで起きたわ!」
なら、寝たふりをしていたのか。ずる賢いな。
竜馬はソファーから立ち上がったので俺も立ち上がった。
「………何か用かよ」
「いや、特にないが?あまりにもお前の寝顔が可愛くて………」
俺は思った事を言ったんだが、また頭を打たれた。
「そう言う事を、平気で言うなって!」
コイツの考えが読めん。何故そんなに嫌がる?本当は嬉しいくせに。
「……………竜馬。俺が嫌いなのか?」
「嫌いじゃねぇけど………」
「なら何故嫌がる?」
「………恥ずかしいと言うか」
何だ、そんな事か。
「安心しろ、此処には俺達しか居ない」
「そりゃそうだけど」
だから俺は、竜馬に近寄って。竜馬を抱き寄せてキスをした。
深く、お互いを確かめられるように。
「んんぅ………」
キスをしている時の、コイツの顔は可愛い。
「ん、……はぁっ………。んぅ………」
何度も舌を入れたりして。俺も竜馬も、互いにきつく抱き締めあった。
「………ぷはっ」
いい加減息が続かないので離した。
「はぁ……、はぁ………」
「もっとするか?」
「いや結構。………隼人」
俺を呼んだかと思ったら、竜馬は俺に抱き着いて来た。
「………」
俺は竜馬の手を掴んだ。
「隼人?」
「……温かいな」
「そりゃ、さっきまで寝てたし」
俺はその竜馬の温かさが、何処か懐かしく思えた。
「………俺は、お前の手を絶対に離さないからな」
「隼人………」
「何が何でも離さない。ずっと、一緒だ」
「………うん」
俺の肩に顔を埋める竜馬。それが可愛い。
こんな竜馬、誰にも見せられんな。
竜馬は俺から離れて、この部屋を出ようとした。
「何処か行くのか?」
「ああ。ってか、トイレ」
「ああ、そうか。終わったら戻って来い」
「勿論」
竜馬が出て行って。
俺は椅子に座った。

俺は竜馬には勝てない。勝ちたくも無いんだが、負けたくも無い。矛盾した気持ちが、俺の心の中をぐるぐると回っていた。
だが、この気持ちだけは負けない。竜馬を好きと言う気持ちを。



「隼人!奴らだ!」
竜馬が指令室に入って来たかと思ったら、それだ。
「ああ、行くぞ!」
竜馬を失いたくない。だから俺も戦う。
いつまでも一緒だ、竜馬。

だから、俺との手を離さないでくれ。












END

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