ゲッターロボ

□選ばされた道、選んだ道
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俺が持つ、ゲッター線と世界を手に入れられる力。それをコントロール出来れば良いんだろ?俺は毎日特訓に励んでいた。
「おらおらぁぁああ!!!」
最初は號との組手。次は凱。その次は竜馬。毎日三人に特訓をしてもらっていた。
「力任せに戦ってたら、ばてるだけだぞ!」
竜馬にアドバイスを貰いながら、俺は號と戦っていた。
でいつも引き分け。まあ、俺が勝たねぇといけねんだけど。
「………今日はここまでだ」
隼人がそう言っていた。いつも大体3時間程で特訓は終わる。長いと疲れちまうからってさ。
「………どうだ竜馬、世界を手に入れられる
力をつかめて来たか?」
「……まだ分からねぇ」
だが、ゲッター線の力に付いてなら、大体分かって来た。俺がピンチの時に力を出そうとすると、そのゲッター線の力はアドレナリンのように体内から放出される。つまり、どれだけ戦っても疲れない。これが俺に与えられた力。これを使うか使わないかは、俺次第だけど。これをゴールが狙っている。だから使うしか無い。選びたくねぇ道だけど。
「………世界を手に入られる力、か。どんな感じだろうな」
號がそう呟いていた。
「…………その力を掴んだが、言うさ」
「ああ、そうしてくれよ」
やはり皆、気になってんだな。そうだよな。俺の力で世界が変わるんだろ?
何事も使い方を間違えれば、悪い方向にも行けるし、正しい道にも行ける。






俺は神大佐に呼ばれ、指令室に居た。
「………何かようか?」
「ああ。………ゲッター線の力に付いては、習得したようだな」
「ああ。お陰様で」
「……後は世界を手に入れられる力だけだな」
「あぁ………」
一体どんな時にその力は出て来るんだろうな。ゲッター線みたいに、ピンチになった時に出て来るのか。それか普段の時に出て来るのか………。
俺が悩んでいると、神大佐はため息を付いていた。
「リョウは良く考えるな」
「あん?」
「竜馬と同じ名前、同じ声、同じ空手を得意としていると言うのに。全然違うんだな」
「………」
「竜馬は何でも直ぐに行動に移すからな」
ああ、だよな。俺だって本当は深く考えないんだぜ?けど今回のは、力で解決する事じゃない。考えないと答えが出ない。
「………もう良いぞ」
「あん?」
「聞きたかった事はそれだけだ」
「………そーかよ」
俺は指令室を出た。
「あれ、リョウ?」
「!竜馬………」
そこに居たのは、竜馬だった。
「隼人は居たか?」
「ああ」
そう言って竜馬は指令室に入って行った。
仕方ねぇ、隼人の所に行くか。





隼人の部屋に行くと、隼人はまたPCをやっていた。
「隼人………」
「どうした?」
「暇」
「なら、少し付き合え」
「?」
隼人は椅子から立ち上がって、部屋を出て行った。だから俺はその後を付いて行った。

研究所を出て、隼人はバイクに乗っていた。後ろに乗れってさ。
「お前、バイクなんか運転出来んのか?」
「ああ。と、言うより大体の物は運転出来る。戦車や飛行機、ヘリコプターも」
………隼人、お前って一体何なんだ?



俺は隼人の腰にしがみ掴んで。
バイクはどんどん早乙女研究所から遠ざかって行った。
「何処に行くんだ?」
「………行けば分かる」
いや、そうだけど。






で、結局着いた場所は海だ。夕暮れ時とあって、地平線に夕日が沈もうとしていた。
「………研究所に居ると、缶詰め状態だからな。たまにはこう、外に出ないとな」
「まぁ、確かに」
久々に見た夕日は、とても綺麗だ。
「………綺麗だな」
「あぁ」
静かに、波の音だけが聞こえた。俺も隼人も、しばし夕日を見つめていた。
「……………いつ元の世界に帰れるんだろうな」
「その事なんだが」
「?」
「俺は戻りたくない」
「隼人?」
俺は隼人の方を振り返った。何で、お前はそんな悲しそうな顔をするんだ?
「………元の世界に戻ったら、鬼が現れる。それにたとえ元の世界で鬼を倒せたとしても、俺は嫌な気がするんだ。お前が居なくなるような」
「冗談よせよ。俺はお前の前から消えたりしないぜ?」
「分かってはいるんだが………」
珍しいな、隼人がそんな事を言うなんて。
「………………竜馬。帝王ゴール、晴明を倒してもこちらの世界に居よう」
「俺はお前が望むのなら」
俺は隼人に近寄って、隼人に抱き着いた。
「竜馬………?!」
「………寂しいんだろ?」
「……」
隼人も俺を抱き締め返す。

俺がもし、隼人の目の間から消えるなんて事があったら、多分それは俺自身が選んだ道だろうな。どんな事か、想像は出来ねぇけど。
正直怖いな。俺が自ら選んだ道で、死ぬなんて。死ぬとは限らねぇとしても、な。

どうする、隼人。
俺がお前の為に消えたら、さ。













END

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