ゲッターロボ

□ゲッターロボ誕生祭
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それは、とても晴れた日の午後であった。
リョウと號が研究所の外で空手の稽古をしていて、それを見守る隼人と神大佐。翔、凱、弁慶は呑気にトランプをしていた。机と椅子を持って来て。
その時だ。突然空が暗くなり、渦が現れた。鬼が来た!と皆思っていたが、鬼が現れる事は無く、赤い機体と暗い機体が現れた。まさか、と皆息を呑んでいた。
「ゲッターロボ、だと………?」
リョウは空を見上げながら、驚いていた。まさか、ゲッターロボが二機も突然現れるとは。そしてそのまま森へと落ちるゲッターロボ二機。そして起き上がり、此方に向かって来た。
「………誰だ?操縦しているのは」
隼人がゲッターロボを見上げながら、そう言っていた。
「おーい!誰が乗ってんだー?降りて来いよー!」
號が叫んでいた。そんなのに答える奴は居ないと思っていたが、ゲッターのハッチが開いた。そして出て来た人物に、また驚きを隠せずにいた。
「………俺?」
そう。そこに居たのは、リョウ自身だ。だが、格好が違う。それに、自分よりも大人びていた。彼はそのままゲッターから飛び降りて来た。
「インベーダーか?!」
そう言って、突然拳銃を突きつけて来た。
「いんべーだー……?は?」
リョウに向かって拳銃を突きつけられたので、焦ったが訳の分からない事を言って来たので疑問を浮かべるリョウ。
「………あれ、俺じゃない?」
赤いマフラーのような物をした竜馬と思われる男も、疑問を浮かべていた。
「こら竜馬。突然飛び出すな!」
彼に続いて、ゲッターから男が降りて来た。とても隼人に似た。
「………インベーダー、ではなさそうなんだけど……」
「……ふむ」
リョウを見つめ、唸る男。その後、もう一つのゲッターからも降りて来た。今度は女と男二人だ。
「神司令!これは一体……」
「さあ。………竜馬か?」
目の前に居るリョウに向かってそう聞く神と言う男。
「お、おぅ………」
「………となると、此処は別の世界のようだな」
「別世界ぃ?んな所あんのかよ」
「現に目の前にお前が居るだろう。全然違うがな」
ちっと舌打ちをして、ようやく拳銃を下ろす竜馬。それには安堵したリョウ。
「………えっと、お前達、どうして此処に?」
「んな事俺が聞きてぇよ」
リョウが竜馬に聞いたのだが、何故か喧嘩口調で。ため息を零したのは神大佐だ。
「……………とにかく、此処に居ては、な。指令室にでも行こう」
神大佐について行く一行。
ゲッターロボは、取り敢えずそこに置いておいて。







指令室に着くと、一応自己紹介が始まった。
その後、何故こうなったのか、と隼人三人が真剣に話し合いをしていた。
一方三人の竜馬は、お互いを見つめていた。
「………俺だけど、全然違うな」
リョウが赤いマフラーらしき物をした竜馬を見つめ、そう言っていた。
「……こっちの俺は強そうだけど、てめぇは弱そうだな」
「んだとぉ?!」
あーあ、と呆れる竜馬(ネオゲ)。どうして俺は、喧嘩が好きなんだろう。違う世界でも俺は俺か、と思っていた。
「とにかく!喧嘩すんな!………おい、竜馬。紛らわしいから、何か別の名前を付けろ」
「はぁ?んな面倒くせぇ事やってられっか」
「………竜馬と呼ばれたら、一体どっちか分かんねぇだろ」
それには黙る竜馬(真ゲ)。
「……考え付かねえから、良い」
「あっそ」
リョウはそんな竜馬(ネオゲ)を見つめていた。やっぱりコイツの方が、大人だと。
「………お前、俺か?」
「……同じなのは、名前だけだろう」
號も似たような立場であった。凱もそうなのだが、二人はとても似つかないのでお互いに握手を交わしていた。互いにメカニックマンだと言う事もあって、気が合っているそうだ。翔は渓と握手を交わしていた。
「號、か。偶然だよなー。ゲッターに乗って、世界を守ってるって」
「………そうだな」
二人の会話を聞いて、翔が笑い出していた。
「おいこら!何で笑ってんだよ!」
「いや、同じ號とは言ってもここまで違うとは………。お前、號を見習った方が良いぞ。彼の方が冷静だ」
ぐるる、と唸る號(ネオゲ)。それには鼻で笑う號(真ゲ)。
「……………話がまとまったぞ」
神大佐が話を切りだして来た。
「……聞けば、今日は4月4日。つまり、ゲッターロボが初めてアニメとしてTVで流れた日だそうだ。記念すべき今日に、三つのゲッターロボが揃った理由は、それだろう」
ああ、なるほど、と一同は納得していた。
「これもゲッター線のせいか?」
號(ネオゲ)が神大佐に聞いていた。
「多分そうだろう。主にゲッター線が悪い」
この男は……。と呆れるのは竜馬(ネオゲ)だ。
「あ、なぁ折角三人の俺が揃ったんだ。誰が一番強いか、勝負しねぇ?」
竜馬(真ゲ)らしい提案だろう。それには二人共頷いた。
「なら、外に行くぞ。ゲッターは無しで、己の拳で戦うぜ!」
竜馬(ネオゲ)が腕を見せながらそう言っていた。三人は走って、研究所の外へと向かった。
「全く……。三人の竜馬には呆れるな」
隼人(真ゲ)は呆れていた。
「………一つ提案なのだが」
隼人(新ゲ)のその発言は、二人の隼人を笑顔にさせていた。







「ってめぇ!」
「んだよ!」
竜馬(真ゲ)とリョウが殴り合いをしていた。それを見守るのは、號・凱(ネオゲ)、號・凱(真ゲ)、翔、渓、弁慶だ。
「大変だな、お前達。二人も同じ名前、見た目だと」
真ゲの弁慶がこの場に居ないのは、彼がブラックゲッターに乗っていないからだ。ブラックゲッターは精々二人までしか乗られない。それも、真ゲが此方の世界に来たのは、ブラックゲッターに竜馬が運転するのにも関わらず、隼人がたまたま乗っていて。真ゲはインベーダーと応戦していたらしい。その時突然光に包まれ、気付いたら此処に来ていたと言う訳だ。
「弁慶、暇そうだな」
「あ、隼人。………ん?お前、何を持ってんだ?」
弁慶が隼人(新ゲ)の手に持っている物に注目していた。
「………おいおい」
「別に良いだろう?ファンサービスだ」
「いや、それただ単にお前がやりたいだけだろ?」
隼人(新ゲ)はそれを持って、リョウの所へと向かった。
「二人共、そこまでにしろ」
「!隼人………」新ゲ
「………んだよ」真ゲ
そして隼人はリョウの手を取って、自らの方に引き寄せた。
「ん?なに?」
「折角のゲッター祭だ。これをしろ」
リョウに手渡したのは、ネコミミだ。
「………隼人さん?」
「今日は祭りだ。良いだろう?」
「えっと………」
ちらっと竜馬(ネオゲ)の方を見て見る。すると、彼も同じ状況だ。
「………お前、30歳がしていいと思ってんのか?」
「俺が見たい」
「………はぁ」
竜馬は渋々そのウサ耳を受け入れたそうだ。真ゲの二人を見て見ると、竜馬が怒っていた。
「てめぇ!年を考えろ!」
「安心しろ。あっちの竜馬は30だが受け入れた」
「なら見た目!あっちは髪がなげぇだろ!」
そう言う問題なのだろうか。
「今日は祭りだ。それに、しなければ終わらんぞ」
「くっ………!」
どうやら彼も受け入れたようで。
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