ゲッターロボ オフェル

□‐The planet Earth-地球と言う惑星
1ページ/15ページ

そこは死の星と化していた。恒星ゲッターから降り注ぐゲッター線の汚染で、生き物は死に絶え、草木は枯れ、生きている者は数えられるほどにまでなっていた。
一人の人間と外見が全く似た青年が、暗黒に染まった空を見つめていた。昔はあんなに青かったのに。今ではどうだろうか。こんなに赤黒くなってしまって。ため息が零れる。こんな空になっても、此処に暮らす者は誰一人分かっていない。皆“心”を持たないからだ。脳内に生まれた時から刻まれた事だけを、ただ永遠と死ぬまでやり遂げる。それが此処クローヴィスの掟でもある。だが彼リューリクだけは違っていた。心を持っているからだ。
滅び行く惑星の死を、ただ見ているわけにはいかない。自分だけでも何とか生き延びたい。そう思い、彼は優れた頭脳を使って、機械を操り、遥か何十億光年も先に離れた銀河について調べていた。そこで一つだけヒットした銀河が存在した。それが天の川銀河。そして地球と言う惑星を。クローヴィスと良く似ており、リューリクが新帝国を築くのには最適な惑星だろう。彼は急いで造りかけであった宇宙船を、心を持たない他の奴らに命令して造らせ、地球へと向かう事とした。




リューリク達が地球を目指して出発して、数千年の月日が流れた。
雨が酷く降る5月半ばの事であった。雨に打たれながら、一人の少年が崩れたビルを見つめていた。瞳からは、涙か分からない滴を流して。
「……何で」
その場で膝から倒れ、拳を強く握り締めて地面に向かって殴っていた。
「何で………!」
同じ言葉を繰り返し呟く。
「どうしてだよ…………!くっそぉぉぉおお!!」
彼の苦痛の叫びだけが、ただ響いていた。


その日、巨大地震が地球を襲った。特に被害が酷かったのは日本だ。大地は裂け、ある場所ではマントルが噴き出していた。ビルを破壊し、町を破壊した。どの県も壊滅的な状況に陥ってしまった。
彼、信崎楓太もその被害者だ。巨大地震が起こる一時間前の事。彼が習っていた空手の最終試験があったので、両親共々見に来ていた。楓太は最後だからと真剣に試合を行っていた。だが最終試合の時、地震が襲った。天井は崩れ、瓦礫が皇希目掛けて落ちてきたのだ。楓太は瞳を瞑り諦めていた。だが誰かが彼を押したのだ。そして楓太の代わりに、誰かが瓦礫の下敷きになってしまった。一体誰が自分を助けてくれたのか。それを考える暇もなく、また沢山の瓦礫が天井から降ってきた。楓太は自分を助けてくれた人間を見るべく、振り返った。すると瓦礫に埋もれていたのは、自分の父親だった。彼は楓太に
『生きろ。お前が生き残ればそれでいい。』
と告げた。その後また瓦礫が降って来たのだ。楓太は誰かに腕を掴まれ、その場から逃げた。
楓太の腕を掴んでいたのは、母親だった。二人だけでも助かろうと思っていたのだが、突然の地割れ。彼らは二階にいたので、地面が割れ、楓太の母親が落下しそうになった。楓太は助けようと腕を伸ばしたが、母親はその手を取らなかった。何処か母親は、笑っている様な感じがしたのだ。
彼は振り返らず走り出し、このホールから逃げた。


同時刻。
浅間山付近では、とある研究者達が集まっていた。
だが突然の巨大地震。大地は裂け、マントルが噴出して来るのではないか?とここに居た研究者全員は思っていた。だが何も噴出して来ない。それどころか、その裂け目から怪しく緑色に光る輝きを見つけた。
「………これは。」
一人の老人がその光を見て、そう呟いていた。
「……………おい放射線を測定する装置を貸せ。」
研究者の男にそう言う老人。それを受け取ると、老人はコードにつながれた放射線を測る装置を、その裂け目に投げ込んだ。
そして引き上げると、かなり高い数値の放射線を確認した。そこで老人は確信した。
「やっとワシが探していたものが、見つかった………。」
彼が笑った時だ。遠くの方から声が聞こえた。
「おーい、早乙女。持って来たぞー。」
「ああ。敷島か。」
敷島と呼ばれた老人は、トラックに乗っていた。
そしてそのトラックは、早乙女と呼ばれた老人たちの所で止まった。トラックから敷島は降りて、早乙女の所に向かった。
「いやー、突然の巨大地震で焦ったわい。」
「それはワシかて同じ事だ。それで?要件は何だ。数年ぶりに会ったんだ。何か用でもあったんだろう?」
そうじゃったそうじゃった、と敷島は言って、一旦トラックの方に戻り、トラックからとある物を取り出して来た。
「………!これは。」
「実はな。一週間ぐらいにどっからともなくこいつが降って来てな。最初は飛行機から落ちたかと思っていたんじゃが……。何処か人間とは違うんじゃ。血が、赤くないんじゃ。それに………。」
それから敷島は、淡々と話し始めた。




敷島の話が終わり、今度は早乙女が話を始めた。
「………となると、その生き物は地球外来生物だと?」
「それしか考えられんだろう。」
う〜ん、と唸る早乙女。
「……もしかしたら、コイツと関わりがあるのかもしれんな。」
「ん?」
早乙女は敷島にそこの裂け目を見る様に言った。
「………この光は!」
「恐らく、………………ゲッター線だ。」
「ゲッター線は確か、約800光年も離れた銀河にあるんじゃ無かったのかの?」
「ああ。その筈だが……。よしここに研究所を立てよう。」
「おいおい、正気か?」
「ああ。……お前が見つけて来たコイツの事もある。もしかしたら………………。」
この時も余震は続いていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ