鋼鉄神ジーグ

□A complicated puzzle-複雑なパズル-
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俺は今日も、剣児と一緒に居る。朝は一緒に登校して。
ほとんどの時間を、共に過ごした。だから良く女子に不思議がられる。何故あの馬鹿と一緒に居るのか、と。俺が誰と一緒に居ようが、勝手だろう。
昼飯は、剣児と一緒に食べている。
「良く食べるな………」
「腹が減んだよ」
はぁ………。まあ、そこも可愛いんだがな。
「なあ剣児。明日は暇か?」
「明日?ああ、暇だぜ!」
「なら二人で出掛けるか。バイクに乗って何処かに行こう」
「良いな!行こうぜ」
言い方を変えれば、デートだな。
「何処に行く?」
「海でも行くか?」
「あ、良いじゃねえか!春だしな、丁度良い」
普通は夏なら丁度良い、とか言うんじゃないのか?剣児の考えは、理解出来んな。
「なぁ鏡。海行くから、当然泳ぐよな?」
「お前は泳ぎたいんだろ」
「はは、ばれた?久々だからな〜」
俺だってそうだ。………色々あったしな。たまには、こうやってゆっくりしたい。
「なら、バイクは一つで良いだろ」
「え、何で?」
「………お前を後ろに乗せたいんだ」
「そう言う事なら、良いぜ」
剣児はご飯粒を口の周りに付けながら、そう言っていた。俺はそれが気になったので周りの目線が何だろうが、それを取った。
「付いてるぞ」
「あ、悪いな」
勿論それは俺が食べる。それを見た剣児は、赤面していた。
「!?お前っ………」
「別に良いだろ?これぐらい」
「………はぁ」
何故そこでため息を付く。俺はとても嬉しいんだけどな。







何だかんだで次の日になっていて。
俺は剣児を迎えに来た。剣児を後ろに乗せて、バイクを発進させた。
「よっしゃー!海だー!」
「……つばきは何も言って来なかったのか?」
「あ?……疑われない様に、バイトって言っておいた」
「ああ、なるほどな」
俺の腰にしがみ付く剣児。そう言った所も可愛いな。


海に着くと、人が何人かは居た。そりゃ居るか。バイクを駐車場に止めて、階段を下った。
「良い天気だな〜」
「今日は、最高温度が25℃まで行くそうだ」
「え、マジか!」
俺達は場所を取り、レジャーシートを引いて。海から然程遠くない所だ。剣児は服を脱いで、もう海に向かっていた。
「きょーう!先に行ってるぜ〜」
まあ、シートと服しか置いていないから盗られる事も無いだろう。それに俺達は男だ。変態が居なければ、大丈夫だろう。それに人も少ない。常にシートの方を見ていれば、大丈夫だな。俺も服を脱いで、剣児の後を追い掛けた。
「………やっぱ、まだ生温いな」
「夏でも生温いだろ」
「あ、だな」
入るなりその言葉か。まあ、俺もそう感じたが。
「剣児、あまり遠くには行くな………」
俺が剣児の方を向いた時だ。剣児に水を掛けられた。
「避けろよー」
「………」
流石の俺も、それにはキレた。だから倍返しにして水を掛けた。
「うわっ!ひでぇ!」
「どっちが酷いんだ」
「んだとー?」
そこから何故か、水の掛け合いが始まってしまった。

10分ぐらいそれを続けて。流石の俺も疲れたので、海から上がった。
「待てよー」
後ろから剣児がついて来た。
「泳いでいても良いんだぞ?」
「俺も疲れた」
シートの所に戻って。俺は立膝を立てて、座った。
「………平和だな」
「あぁ………」
剣児は、寝転がりながら空を見つめてそう言っていた。
「……ずっとこうが良いな」
「………………」
本当だ。このまま平和が続けば良い。ずっと、永遠に………。
「………海外に行くか」
「剣児?」
「海外に行って、俺とお前の二人だけで暮らして。………自由に生きてぇよ」
コイツの心は、全く読めない。何を考えているのかさえ、分からない。今だってそうだ。何を突然言い出す。
「………鏡」
「ん?」
「……………好きだぜ」
「!?」
俺は剣児を驚きながら見つめた。何を突然………。
「ん?どうした」
「いや、お前から言うなんて………」
「言っちゃ悪かったか?」
「いや………」
「キスしてほしいか?」
「!!??」
本当に、コイツの心が読めない。俺をからかっているのか……?
「………冗談だよ。こんな人が居る所でやる訳ねぇだろ」
「………あぁ、そうだな」
全く……。本当に、パズルみたいに複雑で、組み合わさらない心だ。
「………あ」
「?どうした、鏡」
「あれ」
「?」
俺が指を指した方向には、つばきとクラスメイトの女子が数人、向こう側に居た。
「やっば!ばれたら殺される!」
「………取り敢えず服を着ろ」
俺達は慌てて着替え、急いで片付けて、階段を上がって駐車場に向かった。
「………此処なら、大丈夫だろ」
「……此処から離れよう」
「だな」
バイクにまたがり、剣児は俺にしがみ付いて。見つかると本当に面倒なので走り出した。
「ふぅー。間一髪だな」
「だが、どうする?何処かに行くか?」
「あー………。なら俺の家に来るか?」
「……良いだろう」
ならば、覚悟しておけよ?剣児。











END

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