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□No.35
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キルアがいなくなるかもしれない、そんな不安に襲われたサリイだったが、あれは夢だと言い聞かせた。
そんなときドアをノックする音が聞こえた。
「サリイ、寝てんのか〜?」
ノックと同時に聞こえて来た大好きな人の声。
サリイは勢いよくドアを開けた。
そこには予想通りキルアが立っていた。
「起きて
「キルア!!」
サリイはキルアの言葉など聞かず、思いっきり抱きついた。
いつもなら、バカとかやめろとか言うキルアが何も言わなかった。
「サリイ、何かあったか?」
キルアはドアを開けたときの、サリイの表情を見逃さなかった。
安心したように笑って、でも不安そうで少し泣きそうな表情。
(あ〜、落ち着く。キルアの匂いだ。やっぱ好きだなぁ。……でも)
サリイはキルアから離れた。
「ううん、何でもないよ!朝からキルアに会えて思わず……ね。」
サリイはごまかすように笑った。
いなくならないで、なんて言う資格はない。
ただの仲間のサリイには、そんなこと言えない。
仲間という関係の歯痒さに、サリイは初めて気づいた。