□No.36
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キルアside


ゴンの為にチケットを買おうと思って、サリイを誘いに行った。

ドアを開けたら勢いよくサリイが飛びついて来た。そんときのサリイは、いつもの笑顔と違って少し泣きそうだった。

何も話さないから無理に聞かなかったけど、いきなりあんなこと言うからビビったぜ。


「どこにも行かないよね?」


そう言うサリイは弱々しくて、ちょっとしたことで壊れてしまいそうな顔してた。

そんでオレのこと好きって、仲間としてじゃなくて。

そんなことわかってる。
あんなに毎日、自分の気持ちをストレートにぶつけてればわかる。

オレもサリイのことが好きだ。

でもあの日決めたんだ。
アニキや母親、オレの家族からサリイを守れるくらい強くなる。
強くなってからオレの思いを伝えるって。

サリイは元幻影旅団だし、そこそこ強いだろうとは思ってたけど、ガチで戦ってもオレが勝つと思ってた。

でも念を修得して数年……サリイが本気を出せばオレより強いだろう。

自分より弱い奴に守るって言われても説得力ねぇし、何よりもそんなかっこ悪いことできっかよ……。

せめてサリイと対等に戦えるくらいの力、そこまで強くなったら思いを伝える。

そう決めてたんだ。
だから今は応えられない。




キルアにとっての初恋も、まだはじまったばっかりだった。
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