□No.54
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パクノダの手が自分の顔の目の前まできていた。
目は瞑ったままだが、気配でだいたいはわかる。


(どうすれば……)
「無駄だね。」


サリイが焦っていると、キルアの声がした。
キルアは時間を稼ごうと、パクノダに話を始めた。


「あんたさ、対象者に触れることで記憶を引き出す能力者なんだろ?」


パクノダは反射的に手を引き、キルアの話しを聞いていた。


「オレたちは何も知らない。仮に何か知ってても……ぐっ!」
(キルア!?)


そこまで言うとキルアから苦しそうな声が漏れた。
目を開けることの出来ないサリイは、状況が確認出来なかった。


「やればわかること。黙りなさい。」
「ぐっ……。」


パクノダがそう言うと、キルアは苦しそうな声を出したままだった。


「もし何か知ってても、別のこと考えて頭ん中読ませないもんね!」


苦しそうな声を漏らし話せないキルアに代わって、次はゴンが話し始めた。
するとゴンもキルアと同じように、苦しそうな声を出し黙った。


「あんたたち2人、何か勘違いしてるわね。私が引き出すのは記憶の中の最も純粋な部分。」


苦しむゴンとキルアにパクノダは自分の能力を説明していた。


「偽証は不可能よ。」
(あと少しのはず……。はやく!)


サリイは目を瞑ったまま、7時になることを祈るしか出来なかった。
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