漢方屋。
□二花紗
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布団をたたみ、目につくごみは捨てた。
さて、参ろうか
「失礼します、真田殿」
真田幸村のいるらしい部屋の前で膝をつき、返事を待ち襖を開ける
布団の広がったままのそこは真田幸村の部屋のようだった。
隣りには、側近の方がいた。
「どうした?」
「昨夜、僕がこの城へ参った用を今果たしたく…」
「言ってみよ」
「道中の挨拶に参りました」
「――挨拶、か… いい、下れ」
「でも…」
「お前はここに住まうのであろう?なら問題はなかろう」
「は……? 住まう…というのは」
「なんだ、違うのか」
「…僕ここに住むなんて言ってませんよ?」
「…それは真か?」
「……はい」
「ーーしかし、お主もそろそろ居場所が欲しがろう?」
「ーー…居場所……」
「真田のため、ここに残うてはくれぬか、羽翼」
「ーーはい、これからお世話になります」