HUNTERxHUNTER
□08*初めて会ったときから
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「キルア、夢主1と会えたかな」
「どうだろうな」
「てか、キルアが暗殺一家って、全然似合わないよね」
「それは私も同感だ。
それに、暗殺一家とは嫌われて当たり前の仕事だが」
「夢主1のことでしよ?」
「あぁ。それなのにキルアは夢主1に嫌われることを恐れていた」
「なんか、その時点で殺し屋の血を引いてないよね」
まぁ、キルアが夢主1を意識してるのもあるんだろうけど。
「ちゃんと謝れてるのかなー」
夢主2が壁に掛かってある時計を確認するとキルアと別れてから30分が経過していた。
「キルアのことだ。心配はいらないだろう」
「そうだね」
レオリオはキルアが去った後、すぐに立ち上がり
少し歩いてくると言ってどこかへ行ってしまった。
「何かすることもないよねー。
クラピカはもう一眠りするの?」
「そうだな。休んでおくのが先決なんだろうが、ここにいるほうが落ち着く」
…ここ?
周りを見渡しても特に面白いものはなく、部屋につながるドアと時計、そして自分たちが座っているベンチくらいしか目に入らない。
どこに落ち着く要素があるのか
不思議そうな顔をする夢主2を見て、クラピカは微笑んだ。
「すまない。言い方が悪かったようだ。…夢主2といると落ち着くということを言いたかったんだ」
「え?」
予想していなかった言葉にびっくりして思わず間の抜けた声を上げた。
「初めて会ったときから、夢主2にはなぜか心を許してしまっていた。
あの時、初めて会話したのにあれほど話せたのは自分でも驚いたのだよ」
2人は自然と出会った日のことを思い出していた。
「同じ年ということもあったろうが
夢主2と話していると心が落ち着くんだ。
とても近しい人のように思える。
そうだな、まるで……妹みたいだ」
────ズキッ
……あれ、どうした自分
夢主2はクラピカの言葉が嬉しかったにも関わらず、なぜか心が痛んだ。
何も反応しない夢主2に慌ててクラピカは弁解する。
「すまない。同じ年なのに妹とは失礼だったな。
家族のように近い存在ということを言いたかったのだが」
「ううん。全然気にしてないよ」
そう、全く気にしてない。
同い年なのに妹扱いされることが
嫌なんじゃない。
そうじゃなくて
「家族みたいな存在か。
確かにそうかもしれないねっ」
そうだよ、私たちは家族みたいなもの。
嫌なことじゃない。
でも、それって………………
「クラピカ、私キルアと夢主1の様子見てくる。
クラピカはレオリオが帰ってくるかもしれないから、ここにいて」
「あぁ、そうか。1人でも大丈夫か?」
「大丈夫っ!後でねー」
小さく手を振って角を曲がる。
クラピカが視界から消えた途端
夢主2は走り出した。