御本(短編)*銀ちゃん*
□sweet darling.
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「終いだな。俺たち。」
『え?』
万事屋にきたら開口一番、私に向かって彼はそう言った。
呼吸が止まりそう。
昨日も上手く行ってた。
仲良く、それはソレは仲良く一緒にここに居た。
あの逞しい胸と腕と甘い彼独特の香りと低い声とたまにこっちに煌めいて魅せてくれるウサギみたいな妖しい瞳とニヤリと不敵になる口元と気持ちいい髪の毛と・・・・
あぁ・・・止まらないよ。銀ちゃん。
愛してるのにダメなの?
愛してる。愛しい。愛おしい。
なのにこれは・・・現実なの?
「千和(センナ)。お終いにしようぜ?俺たち。こういうの。」
『・・・・こういうのってなに?』
泣きっ面だろうと必死に睨みつける!
こんな不条理許せない!
「カノジョとカレシの関係。コイビトの関係。めんどくせーだろ?」
『お決まりなこと言わせないでよ!めんどくさいってなにっ?!』
「・・・・おーおー・・イイ顔。・・・なぁ、銀さんに・・・最後にヤラシテクンネー?」
『ぐッ・・・・シュッ!』
パシッ・・・・
唇を噛みしめて振り上げた腕が捕われる。
当たり前みたいに。
触れないで。
涙しか出ない。
「・・・なぁ、千和(センナ)。俺今・・・・・・・・・けどよ、――めて?」
『っ!!銀ちゃんサイテーッ!!』
耳に・・・脳に信じられない彼の言葉がコダマスル。
その場に崩れ落ちるしかない。女の私。
涙のシミが黒く床に点づく。
時よ・・・帰ってきて。
甘い時。