御本(短編)*総ちゃん*
□東京オオカミ24時
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ピンポーン
「へーい。留守でーす。・・・めんどくせーな。」
けど出ちまった。
何かそれっぽい予感したもんで。
ガチャ
「・・・・何でィ。こんな夜中に。」
ほら言った通りだったろィ?
『・・・終電なくなった・・・・ヨ?』
「“ヨ?”じゃねーやい。知ってるか?東京の地下鉄は今、24時間動いてんだぜィ?」
『・・・・・知ってた気がする。』
ひとりぐらしの自分家の玄関に自分のカノジョが立ってる、夜中。
あーあ。こりゃ誰だってイケねーと思うよなァ。
「ついでに、東京都○○区○○ホリャララ番地の2階の真ん中ん部屋には24時間オオカミが息してるって知ってたほうがいいんじゃねーかィ?」
『・・・回りくどいよ。』
ヒールをコツっと鳴らして季紅(キコ)がカラダの重心を変えた。
「・・・・そのスカート見るの初めてでさァ。季紅(キコ)お前、・・・わざとだろ?」
『・・・・あげてください。』
俯いて小声。
仕方ねぇー・・・・
呆れて、俺も重心を廊下の壁にあずける。
「はぁー。ケータイの充電切れるまで遊んでじゃねーや。次したら犯すぜィ?ここで。」
右足で、スリッパが脱げないように足踏み程度に軽く床を蹴ってみせてやった。
『・・・・・今日は、・・・ないの?』
前言撤回。
「・・・甘えんなよ?メス豚。とっととスカート捲くりなせィ。そんで今すぐお仕置きでィ。」
『っ・・・どうしよう!』
せいぜい泣き声が両隣に漏れねぇようにするんだねィ。
寝床に獲物が舞い込んだ。
東京オオカミ24時。
end.