御本(短編)*退くん*
□シノんで抱っこ。
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「今日も遅くなっちゃたなぁ。」
今は深夜。
オレがこうして、皆寝静まった頃にここへ帰ってくるのはよくあることなんだ。
都合、夜のほうが仕事が進むからね。
そんでくたびれてもオレは、必ずここに帰ってくるんだ。
勿論、ここが自分の居場所・勤め先・ホームだってゆうこともあるんだけど
今、オレが気持ちん中で示唆(しさ)してるのは・・・
『お帰りなさい。退さん。』
ほっ・・・・――
「ただいま。桜(サクラ)ちゃん。」
彼女のこと。
彼女が今ここにいて、こうして待っててくれるから
「きっと待ってるんじゃないかと思って、駿足で帰ってきたよ(笑)」
『!クス。お疲れ様です。待っててよかった。』
ほわっと癒される笑顔をくれるキミ。
ああーっ!大好きなんだよ!それ!
「今日の仕事、オレ誰も傷つけてないんだ。だから・・・」
『・・・だからなんでしょう?もしかして・・・これってお口と行動の順番間違っていませんか?退さん(笑)』
オレよりもうんと、か細い大事な桜(サクラ)ちゃんのからだ。
その温もりと甘い女の子らしい匂いが
こうして抱きしめているとどんどん沁みてくる。
充電、充電。
「ダメ?いいでしょ?・・・・ボク、連日張りこんで疲れちゃったから大目にみてやってくれない?桜(サクラ)ちゃん、優しいじゃん(笑)」
『わかりました(笑)でも、ごはんとお風呂どうしましょう?いつ行きます?』
「ん〜・・・もうちょっとこのまま考えさせて?他の選択肢もありそうだから(笑)」
一瞬ぴくっと彼女のカラダが反応したかな?
あー・・・癒される(笑)
お決まりのお風呂もごはんもスルーしてここは・・・
「やっぱり更に癒しを求めたいんだけど・・・許されそうかな?」
少し、キミの耳元で囁きっぽくお願いして
『ごはん・・・まだ火入れてないんです(照れ)』
「うん、了解(笑)」
どうしてもキミと離れられないこんなオレ。
けど、それだって愛ゆえなんだ。
仕事の疲れも憂いも
キミのとこに戻れば全部置かせてくれる。
ありがとう。
もっともっと長く一緒にいようよ。桜(サクラ)ちゃん。
ねぇでも、まずは今すぐ・・・・
「部屋まで、誰も起こさないようにエスコートしてあげる。」
『重いですよ?』
「大丈夫。・・・行くよ。」
キミを抱えて夢のひと時に向かわせて。
慣れた足取りそっとそっとで・・・
《シノんで抱っこ。》
fin.