御本(短編)*土方さん*

□優しさのよる音
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彼と付き合ってもう3年、倦怠期なんて実はもうとっくに過ぎていつでも笑い合えるようになった私たち。


「んじゃ、行ってくる。」

『うん。行ってらっしゃい!・・・あっ!ねぇトシ・・今日も遅い・・よね?』

「?多分な・・あさって非番だから堪忍してくれ・・ダメか?」


いつも朝早くここを出てくトシ。
でもトシは朝早いのにこの玄関に立つ時にはもう凛々しい仕事モードを纏ってる。

だからいつ見てもカッコイイその隊服姿と

そんなキメた顔で言われたら



『ダメなわけないよ。ごはん用意しとくよ。冷蔵庫の中のいつもの棚ね』

「助かる。じゃぁな・・・チュ。」

『・・・いってらっしゃい』



いつもの煙草の香りのキスを残して出かけていくトシ。

玄関を開ける瞬間のトシの後ろ姿が実は好きでこっそりいつも熱い視線を送る。



『・・・(カッコイイな)』

「安寿。」



ドキッ・・・・今日は気付かれたかも知れない



『何?』

「戸締りちゃんとしとけよ?・・・行ってきます。」

『!うん・・そっちも気をつけて。』



指先に煙草を挟んだ手を背中越しにちょっと上げてドアの向こうに消えてしまった。





階段を下りてく靴音が聴こえる。



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