御本(短編)*土方さん*
□虚しさの相殺
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どうしようもない虚しさを紛らす術を
もし、自分が持っていなかったら…
自分の中をどんなにガサ入れやってみたって見つからなかったら
その時は私は…
私は凄くズルいので他人(ヒト)を頼ります。
その他人はでも…誰でもいいわけじゃないのです。
だってもし、紛らして貰えなかったら…失敗されたら困るからです。
その時に負うだろう傷はハンパなさそうで…堪ったもんじゃないだろうから。
それだけは避けなくちゃ。
鉄則。
自分を守る為の…自己防衛の本能的なルール。
こんなのってズルい?
ズルいかな。でもズルくても、大丈夫。
相手は“大人”で“男”で“強い”から大丈夫。
ダイジョウブ。
私なんかに負けない…。
だってアナタにとってみれば私なんて…私は…“幼稚”で“女”で“弱い”んだろうから。
それでも唯一、これだけは私に備わっていて良かったと思える…“女”であること。
これが無くては…これのお蔭…これの所為で、私はアナタにズルができる。
昼夜構わず、私の都合で正(マサ)しく子供のように喚(ワメ)いて…ズルをするんだ。
詰め寄って…甘えたして…虚しさ擦(ナス)り付けて…欲しいモノだけ貰って満足して眠り、また新しい日をめでたく迎えて過ごし生きていく。
だけど今さら思う。
そんな私を…私と同じ狢(ムジナ)の中で過ごして見てなければならないアナタは…
私に勝手に頼られてるアナタは…真相(ホントウ)のトコロ、どうなのか。
どう思っているのか。
迷惑…には違いないな。
それと他には…?
他には何か…想ってる?
土方さん……?