御本(短編)*土方さん*
□逆らえない運命
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『・・・・ちょっと、アンタそれどういうこと?』
ここは真選組屯所の医務室。
つまり私の自室だけど。
ハイ。今日は何だかご利用者サマ満員御礼。
次から次に、軽傷程度のお疲れ隊士がこの部屋に入ってきては出てをしている状態。
なんだけど、終盤・・・・
ソイツは満を持したか如く、おっとり刀で部屋に入ってきた。
こんな時にも煙草の匂いをまだ新鮮にプンプンさせてて嫌になっちゃう。
吸ってきたわね?
それで私の前に、さも当たり前のように腰を下ろした。
色んな意味で憎い。
「見にゃわかんだろ・・・ケガじゃねーか。つーか、てめぇ医者じゃねーのか?」
『うるさい!血が出てんだから医者じゃなくたってわかるわよ!そんくらい!全く。てゆうか、そうじゃないでしょ!?何で、こないだと同じとこなのよ?納得するように説明してみなさいよ!できなかったら治療しないんだからね!』
「そりゃねぇだろ!こんでも立派に痛てぇんだぞ!?まともな止血ぐらい先にしやがれ。てめぇみたいの医者の風上にも置けねぇぞ?」
あー嫌だ!全く、どの口が言うのかしら?
今度、眠ってるとこ麻酔してその口縫っちゃおうかしら?
そしたら煙草なんて吸えないし?
それでニコチンの中毒も切れて、ちょっとは反省して自分の身体大事にしてくれるかしら?
あーあ。本当に、何かいい方法ないかしら?
『大事にしなさいよ・・・・身体。どうして、またここやられたの?・・・脱いで。腕動く?』
「動くがあんま動かしたくねぇ感じだな。・・・お前のやりいい様に脱がせろ。任せる。」
『・・・・じゃあ、そのままそこ押えたままじっとしてて。袖切っちゃうから。』
傷口を押えさせたままにして、トシのシャツの袖を肩の縫い目から裂いた。
必然、顔が近くなる。
顔にはあまり傷はないわね。
キレイなまま。
こっちを見ようとしてる。
こんな至近距離でそんなのさせないわよ?
『・・・で?どうしたの?って訊いてるんだけど私。らしくないわよ?こんな傷。・・・・一回、手離して。』
私は少し移動して、治療しやすい位置を定めてとりあえず止血してあげる。
「・・・知らねぇ。クセかもな?なんか動きにそういう隙をつくるクセがあんのかもしんねぇ。けど、これでわかったから次は無ぇよ。安心しろ。」
『あたり前よ!やめてよね!私がいるからって気緩ませちゃったんじゃないでしょうね?』
だとしたら、私は自分で自分の首絞めてるみたいで・・・・
最悪じゃない。